東大中退ラッパーが吠える「若者の政治離れは大人のせい」
選挙に行かない若者へ
――選挙に行かない10代、20代に何かメッセージは?
ダースレイダー:選挙っていうのは、みんなが参加すれば政治が変わるけど、みんなが参加しなければ変わらないっていう“ゲーム”。投票率ってこの社会に参加している人のパーセンテージでもあるわけだから。
社会の中で生きていて、自分がそこに意見を出さないってことは、全部“やってもらってる”んですよ。「こういうふうにすればいいから」「このお金払えばいいから」って言われたまま生活していくっていう状況が、自分の生き方としていいのかっていうのはどっちみち考えるタイミングがくると思う。
ヒップホップは自分の居場所を確認する考え方。自分はどこから出てきて、いまどこにいて、どこに向かってるのかっていう。自分というものを確定するためには自分がいる環境、社会、仲間っていうものをわかんないと自分が何者なのかもわかんないわけで。
「いま歩いてる道路ってどうやってできてんだ?」
「乗ってる電車ってどういうルールで動いてんの?」
「なんで消費税払ってんだ」
みたいな、決められたことを「本当にそうなのか? ちょっとまって、自分で決めるよ」って疑う発想がエネルギーになってるのがヒップホップなんだよね。だから、ヒップホップを好きな人で選挙に行かないっていうのはちょっと意味がわからない。
結局、「自分で決める」以外の要素って選挙にはない。自分で決めないんだったら全然行かなくていいんですよ。その結果、若者の投票率が低いってことは「自分で決めない人がたくさんいる層なんですね」ってだけ。今回も、ある種48%の人しか、この社会を自分が生きる場所として考える人がいなかったんだなってことでしかないから。
で、自分はどっち側にいたいの?って。自分で考える人? それとも人に任せてぶうぶう文句だけいう人? 選ぼうってことですね。
<構成/鴨居理子 撮影/山口康仁>