No.1ホストが握る寿司屋が「ミルクティー」をお客に出す理由
2019年、歌舞伎町が過去最大に注目を集めています。来年に控える東京五輪を目前に、インバウンド効果で観光客もグングン増加。
そんな歌舞伎町に新たに誕生した飲食店が「コンセプトが変わっている」と話題になっています。5月2日、新宿の新名所・新宿東宝ビル近くにオープンした寿司屋「へいらっしゃい」。
東京都が行った調査によれば、2017年に東京都を訪れた外国人観光客のうち56%が「新宿・大久保エリア」に足を運んでいます。これは銀座、浅草を抜いて、都内のエリアで最多。そんな人気のエリアにどんなお店ができたのでしょう、6月某日、足を運んでみました。
18歳から歌舞伎町で過ごしたNo.1ホスト
インタビュー前、店員さんから飲み物を聞かれます。あがり(お茶)をお願いすると、なんと頼んだお茶にはストローがささっていました。しかも口紅の目立たない赤いストロー。メニューを見ると、寿司屋なのにコーラやミルクティーまで……いったい、どんなお寿司を出すのでしょうか?
そして、オープンキッチンで一心不乱に寿司を握る男性が、やたらとイケメンです。実はこの人、ただのイケメンではなく、なんと歌舞伎町のホストクラブ「Smappa! Hans Axel von Fersen」の指名No.1の超売れっ子ホスト。18歳でホストデビューし、今年で14年目。店の代表を務める重役ホストSHUNさん(@hey_rasshai_)なんです。
「高校生からホストに憧れていました。僕の世代はまさに『夜王』のブームが来ていて、歌舞伎町も盛り上がっていたんです。他の職業を目指したことは今までありませんでした」
そんなホストの帝王が、なぜ寿司を握っているのでしょうか。SHUNさんは「ホストと寿司って共通点が多い。僕が寿司屋になったのは、必然だったと思います」と語ります。
「まず、14年間ホストをやっていて、さまざまな女性に好きな食べ物を聞いてきましたが、その中で一番多かったのが寿司。必然的に、ホストとして女性に同伴して、一番食べた物も寿司です。女性を喜ばせるために、僕にできるホスト以外の仕事はなんだろう。そう考えたら、寿司屋以外、思いつきませんでした」
寿司とホストの共通点なんて、考えたこともありませんでした。ただ、いまだ第一線で活躍するホストが、割烹着で魚をさばき、寿司を握っているのはなんとなく違和感があります。
寿司屋なのにコーラやミルクティーも
とはいえ、SHUNさんによれば「へいらっしゃい」はホストならではの気づきを生かしたそうです。お寿司一貫は小さめで、女性でも食べやすいサイズ感。ヒラメやアジなど、女性の好むさっぱりとした寿司を一口で食べると、その柔らかさにびっくりします。
「魚って意外とかみごたえがあるので……女性でも食べやすいように、たくさん隠し包丁を入れているんです。ホストを14年続けて、一番身についたスキルが、観察眼だった。なかにはミルクティーが飲みたいというお客様もいるので、そうした要望には可能な限り応えようと思います」
女性と一緒に寿司を食べてきたSHUNさんだからこその気づきが、この一貫に込められているのです。だから、お茶にストローをさしたり、ミルクティーやコーラまで用意しているんですね。“ホストの寿司屋”……なるほど、合点がいったように感じます。