新旧ロマンスカーが夢の共演「小田急ファミリー鉄道展2019」現地ルポ
初代3000形SE、大移動
初代3000形SEの“外出”は、相当な労力を要したという。特設建屋に架線がないほか、動態保存ではないので、自力で動けないのだ。加えて、車両と車両のあいだに台車を配置する連接車体なので、1両ごとに切り離すことができず、5両編成まるごと、(社員と協力会社が)数十人がかりで押した。
その後、復元フェイスの先頭車に簡易連結器を取りつけ、1000形に連結し、展示位置まで運ばれた。この作業でも、車両を止めるのに気をつかったそうだ。
小田急ファミリー鉄道展のため、初代3000形SEは海老名電車基地内で塗装され、美しい姿を披露したが、5両編成での展示は最後になるという。
その理由は、ロマンスカーミュージアムのスペースの都合で、中間車2両を断腸の想いで解体を決断したからだ。運転車両部によると、1・3・5両目を保存、2・4両目を解体する予定だという。また、後者については、「雨ざらしにするとアスベストが飛散する恐れ」などの理由で、売却もしない。
車両展示コーナーが大盛況
10時00分に始まると、「車両展示コーナー」が大盛況。初代3000形SEと70000形GSEのほか、保守作業車(軌陸車やバラストスイーパーなど)、模擬架線も展示された。
車両展示コーナーの出口付近には、天夢人(てむじん)による「特急ロマンスカー・SE特設コーナー」を設置。初代3000形SEの製造から現在までをパネルで紹介するほか、取材記事を載せた『旅と鉄道』2019年7月号、鉄道まるわかりシリーズ002『小田急電鉄のすべて』を特別価格で販売した。