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新旧ロマンスカーが夢の共演「小田急ファミリー鉄道展2019」現地ルポ

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事前申込制「なりきり乗務員」コーナーも

 車両展示コーナーを抜けると、事前申込制の「なりきり乗務員 みんなで出発進行!」では、現役の乗務員が参加者に運転台の操作を説明し、合格すると合格証がもらえる。運転台は力行とブレーキをひとつにまとめたワンマスコンハンドルの7000形LSE(「Luxury Super Express」の略。2018年引退)、オーソドックスなツーハンドルの8000形である

特急ロマンスカー

7000形LSEの運転台

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8000形の運転台

「車両機器操作体験コーナー」では、ブレーキをかけた際、モーターが発電した電気を架線に戻す回生ブレーキの仕組み、車内の非常ボタン操作体験、車両の行先表示操作体験(幕まわし)、2つの車輪をハンマーでたたき、どちらが防音車輪なのかを当てる体験などがあり、来場者自身が操作することで、鉄道に対する新しい発見や理解が深められただろう。

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方向幕や種別幕の幕まわし

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防音車輪はステンレスのリングを入れることで、騒音を低減する

 このほか、「変電設備展示コーナー」では、模擬整流器、直流高速度遮断機の展示、「駅員とのふれあいコーナー」では、江ノ島観光や70000形GSE運転席からの車窓をバーチャルリアリティーで紹介していた。

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模擬整流器

乗務員の“自虐ネタ”も飛び出した、第2会場へ

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鉄道模型(Nゲージ)のJR東日本189系は11両編成で、往時を再現

 海老名電車基地と海老名駅を抜け、第2会場のビナウォーク・海老名中央公園へ。「小田急鉄道倶楽部Nゲージ」では、自社車両のほか、JR東日本189系、JR東海371系などが走行。

 最後は進行役の乗務員が自社新型車両の2代目5000形通勤形電車について、「東京メトロ東西線05系と同じような色」という、まさかの“自虐ネタ”で来場者の爆笑を誘い、締めくくった(ネット上では、カラーリングについてさまざまな意見があったらしい)。

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GSEミニトレイン

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GSEふわふわ

 子供向けのアミューズメントコーナー(有料)では、GSEミニトレインとGSEふわふわを設置。前者は発車時に特急ロマンスカーのミュージックホーンが流すキメ細かなサービスぶりである。

この秋、2代目5000形が登場。デビューは2020年

 最後に2019年秋に登場し、2020年春デビュー予定の新型車両2代目5000形を取り上げよう。

 この車両は、車体幅を2900ミリ(参考までに2代目4000形は2770ミリ)に広げ、定員を増加。また、各車両に防犯カメラ、車椅子スペース(1か所)、空気清浄機(8台)がそれぞれ設置され、安全性と快適性の向上に努める。そして、消費電力もさらに削減される見込み。

 2代目5000形はすべて10両車で、2019年度に1編成、2020年度に5編成を導入予定。運転車両部によると、「既存の車両とともに各駅停車の10両化をさらに進める」そうだ。これに伴い、8000形、1000形ワイドドア車(当初、開口幅は2メートルだったが、のちに1.6メートルに改造)が廃車の予定だという。

【取材協力:小田急電鉄】

<取材・文・撮影/岸田法眼>

レイルウェイ・ライター。「Yahoo! セカンドライフ」の選抜サポーターに抜擢され、2007年にライターデビュー。以降、ムック『鉄道のテクノロジー』(三栄書房)『鉄道ファン』(交友社)や、ウェブサイト「WEBRONZA」(朝日新聞社)などに執筆。また、好角家の側面を持つ。著書に『波瀾万丈の車両』『東武鉄道大追跡』(アルファベータブックス刊)がある

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