仕事の段取りが「うまい人・へたな人」の圧倒的な違い
仕事を任されたら、まずはタスクをリストアップ
――仕事といってもいくつかのフェーズがありますが、例えば、仕事を任されてから手を付けるまでに組むべき段取りはどういったものでしょうか?
塚本:自分がこなすべきタスクを、とにかくリストアップして書き出してみましょう。頭の中で思い描いていたものの、作業へ入ったときに“間が抜け落ちていた”というのもありがち。そうなってしまうと“時間どおりに進まなくなる”可能性もあります。
イメージとしては料理のレシピのように書き出して、今度は一つひとつの作業時間を見積もってみてください。そうすることで、すき間時間で間に合うのか、集中して作業する時間を作るべきなのかが見えてくるし、無駄な作業を振り分けることができます。目安として1週間のうちにどう動くべきかを細かく計画して、実践するのがおすすめです。
――計画を立てて、実際に作業を始めてから完了したあとには何をするべきでしょうか?
塚本:作業中はとにかく、こまめに先輩や上司へ確認を取ってみてください。完成してからやり直すとなるとせっかくの時間も台無しになりかねないし、途中で修正点を見つけられれば、あとあとで大きく作り変える手間も回避できます。また、いい意味で“手を抜ける”ポイントをみきわめるのも大切なので、自分の持つ力の70~80%での完成を目指すのも肝心ですね。
そして、ひととおり作業が完了したら、資料を整理してみるのも一つの方法です。過去のプロジェクトが将来活かされる場合もあるので、紙ベースで持っている資料ならばPDFなどにデータ化しておくなど、未来の段取りを効率化できるように意識しておきましょう。
“カバンの中身を全部出す”のが効果的
――今、段取りに悩む人たちに役立つトレーニング方法はありますか?
塚本:僕は毎日心がけているのですが、寝る前に「カバンの中身を全部出す」というのはおすすめの方法かもしれません。翌日の準備をするために実践しているのですが、資料から何から全部取り出してみると、明日何が必要になるかが見えてくるんです。日頃から習慣づけておけば思考の整理にも役立つし、段取りにおいて重要な“逆算する力”を鍛えられるので、今日からでも実践してみてほしいですね。
――最新の著書には、お話にあったようなメソッドが多数収録されていますが、最後に、読者の方にどのように読んでもらいたいですか?
塚本:それぞれのメソッドは、一冊の中に“50のサプリメント”があるようにまとめました。だから頭から読む必要はなく、巻末に設けたチェックリストだけでもよいので、とにかくまずは「今日からでも実践できそう」といったところから読んでいただきたいですね。著書にある方法が合わなければ自分なりに工夫してみるのもアリです。
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段取り力を高めるには、まず“やってみる”というのも大切。塚本さんのメソッドをたよりに、今日からデキるビジネスパーソンを目指してみましょう。
<取材・文・撮影/カネコシュウヘイ>
【塚本亮】
1984年、京都生まれ。同志社大学経済学部を卒業後、ケンブリッジ大学大学院修士課程修了。帰国後、京都にてグローバルリーダー育成を専門とした「ジーエルアカデミア」設立。著書は『ケンブリッジ式1分間段取り術』など多数。