猫のスーパー駅長も。14年目を迎えた「人気ローカル線」を現地ルポ
貴志川線で見ておきたい、ほかの車両
南海時代に投入された2270系は全6編成あり、5編成は水戸岡氏がデザインした。今や6編成とも異なるカラーリングで、人々をますます楽しませているだろう。『うめ星電車』以外の車両を御紹介する。
○いちご電車
第1編成の全般検査施行後に改造され、2006年8月6日に運行を開始した和歌山電鐡のジョイフルトレイン第1弾。床は先述の『うめ星電車』、後述の『おもちゃ電車』『たま電車』と同様にフローリングされ、明るくあたたかみのある雰囲気に仕上げている。
○おもちゃ電車
第6編成を改造し、2007年7月29日に運行を開始したジョイフルトレイン第2弾。家具調椅子、ベビーサークル、陳列棚が採り入れられ、先述の『うめ星電車』、後述の『たま電車』にも受け継がれている。
この車両最大のウリは、車内にガチャガチャ、木馬椅子などが設置されたことで、遊び心があふれている。
○たま電車
第5編成を改造し、2009年3月21日に運行を開始したジョイフルトレイン第3弾。エクステリアは白いボディーを基調に、たまが101匹描かれており、見ているだけで楽しさがあふれる電車だ。
車内は、ロングシートが多種多様、化粧板も無数のたまが描かれているほか、本棚が設置された。床はたまのあしあとつき。にぎやかで、アットホームな空間を作り上げた。なお、前面のネコ耳はのちに取りつけられた。
○動物愛護電車
公益財団法人日本動物愛護協会と和歌山電鐡がタッグを組み、動物の愛護に関する情報の発信、啓発を行なう。2270系第4編成を使い、車体をフルラッピング、車内の中吊りも飼い主などに対する問いかけが中心。2018年6月18日から3年間の運行を予定している。
○おかでんチャギントン電車(貴志川線バージョン)
岡山電気軌道(和歌山電鐵の親会社)が『おかでんチャギントン』を2019年3月16日から運行を開始するにあたり、和歌山電鐵も2270系第2編成でPRすることになった。
2008年10月より、ラッピング電車として運行開始。のちに車内も改装され、2019年3月9日から“チャギントン電車の貴志川線バージョン”として、装いを新たにした。
和歌山電鐡が世界中に知れ渡っても、けっして「安泰」とは言い切れない。「貴志川線の未来を“つくる”会」では、「乗って残そう貴志川線」「もっと、ずっと、貴志川線」「あなたも支える貴志川線」というキャッチコピーで、永年存続の実現を世界中の人々に発信している。
読者の皆様も、ぜひ貴志川線で1日を過ごしてみてはいかがだろうか。
<TEXT/岸田法眼>