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猫のスーパー駅長も。14年目を迎えた「人気ローカル線」を現地ルポ

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車内は和をイメージ『うめ星電車』に乗る

貴志川線の窓口を抜けると、貴志行きの発車が近づいていた。貴志川線は全列車ワンマン運転で、運賃は和歌山を除き車内で収受するため、田中口―貴志間は後ろの車両の乗降用ドアが開かない。

貴志川線

貴志川線第4のジョイフルトレイン、『うめ星電車』

 私が乗車する貴志行きは、2016年6月4日より運行を開始したジョイフルトレイン『うめ星電車』。2270系第3編成を改造したもので、ドーンデザイン研究所の水戸岡鋭治氏がデザインした。

貴志川線

『うめ星電車』の1号車(左)2号車(右)の車内

貴志川線

荷棚の“裏側”と、南高梅の木と花が描かれた天井の化粧板

 車体は渋みのある赤紫で南高梅(なんこううめ)をイメージ。車内は木材を多用し、水戸岡氏の真骨頂である温かみを醸し出したほか、室内灯は蛍光灯からダウンライト、日よけはカーテンからすだれに変え、豪華さを演出。また、荷棚の下を“木材の鎧(よろい)”で覆い、和を強調するのにひと役買っている。

 2270系の乗降用ドアは両開きと片開きの2種類あり、後者の戸袋窓を埋め、車内に大型の鏡を設置。また、ロングシートは家具調椅子で、「ソファー」と言っても差しさわりなく、この部分のみ洋風のデザインである。

終点・貴志駅に到着。周囲を散策してみると…

貴志川線

「たまミュージアム」と銘打った現在の貴志駅舎。実は無人駅である

 和歌山を発車してから32分で終点貴志に到着。かつては年季の入った木造駅舎を構えていたが、2010年8月に改築。21世紀にふさわしい温かみと、やわらか味がある檜皮(ひわだ)葺(ぶ)きの駅舎に生まれ変わった。

貴志川線

たま神社

 ホームには「たま神社」が建立されている。2015年6月22日に永眠した、たま名誉永久駅長が“「和歌山電鐡と地域公共交通の守り神」という名の大明神”として、現在も貴志駅と黄泉(よみ)の国で生き続けているのだ。

 駅舎内には、たま商店、たまカフェがあり、ショッピングや軽食を楽しむことができる。特に後者は「たまの貴志川いちご狩りパフェ」(1400円、数量限定)が目玉商品と位置づけているほか、記念入場券(190円)を販売しており、旅の記念にうってつけであろう。

 この日は貴志駅のスーパー駅長、ニタマが鎮座。10時00分から6時間の勤務で、“乗客を招く”役割が与えられている。定位置でスヤスヤしているようだが、駅長としての風格が感じられる。

貴志川線

ニタマスーパー駅長

 ニタマスーパー駅長の公休日は毎週水・木曜日(祝日の場合は勤務)で、代わりに伊太祈曽駅長のよんたまが代行勤務する。そして、駅舎内には先代の、たま名誉永久駅長の写真が飾られており、これからも“貴志川線の顔”として、世界中に語り継がれるだろう。

 ちなみに、たまは小嶋光信社長の大抜擢により、2007年1月5日付で貴志駅の駅長に就任。世界初の動物駅長就任は、海外メディアでも紹介された。貴志川線の利用客増加に大きく貢献したほか、写真集が発売されるなどの社会現象を巻き起こした。その経歴は下記の通り。

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・2008年1月5日:スーパー駅長(課長職)
・2008年10月28日:和歌山県知事より、県勲功爵(けんくんこうしゃく)(わかやまでナイト)の称号を授与。
・2009年1月3日:執行役員
・2011年1月5日:常務執行役員
・2013年1月5日:社長代理
・2014年1月5日:社長代理ウルトラ駅長(貴志川線14駅の総駅長職)
・2015年6月28日:名誉永久駅長
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