20代で年収にこだわると失敗する。初めての転職の注意点
社会人になって数年経ち、仕事が落ち着いてきたタイミングで、ふとこう考えた経験はないだろうか、「今のままのキャリアで本当にいいのか」と。
転職は今後の人生を左右する大事な選択で、ましてや初めてとなれば、不安はつきもの。じっくり考えて、後悔しない決断を下したい。転職で後悔する人、後悔しない人を分けるポイントはどこにあるのか。
転職希望者で年収が不満という人は少数?
20代~30代前半を対象とした転職支援業を展開する、株式会社アサインの代表取締役、小瀬村卓実さんはこう語る。
「私が面談する20代の転職希望者は、ネガティブなもの、ポジティブなもの含めて現職に多少なりとも不満がある方がほとんどです。やりがいや成長、業務環境などに不満を感じている方が多く、年収に不満を感じているのは私が見た限りでは1割未満です。また、次の仕事で具体的にどうなりたいかを言える人ほとんどいません」
今後のキャリア充実度において大事なのは、今の職場のやりがいや年収ではなく、「自分がこれからどう働きたいか」の価値観を具体的に決めることだという。
「新卒と違って、転職は一度会社で働いているので、地に足をつけて、自分が本当に何をやりたいのかを考える最初のチャンスでもあります。そのため、その人がどういう価値観を持っていて、何をやりたいのか考えたほうがよい。私が面談するときは、どのように土日を過ごしているか、本人の好き嫌いはどうかなど、ビジネスに関係ないことから聞くようにしています。そこを整理したほうが、本当に向いている仕事を見つけられます」
好きなことを突き詰めるのが「本人の実力」を高める
なぜ具体的に業務内容や年収の話をするのが好ましくないのだろうか。
「はっきり言って、20代にとって30代、40代のキャリアはブラックボックスな部分が非常に多いからです。だからこそ、答えを周りの情報に求めるのではなく、自分自身に求めたほうが確か。誰がどこに受かった、この企業の就職偏差値がいくつとか、そういう言葉はノイズだと割り切りましょう」
では、20代のうちにどんなことができるのだろうか? 小瀬村さんは「自分の好きなことをとことん突き詰めることが結局、本人の実力につながる」と語る。
「20代のうちに仕事で自分のやりたいことを突き詰めておくと、30代以降のキャリアに活かせる市場価値が生み出せます。そのためにも、少なくとも業界と職種のどちらかは、20代のうちにあたりをつけたほうがいい。年収についても、35歳になってこだわらないのはマズいですが、若いうちからこだわりすぎると失敗します」