キー局100万円、Vシネマ30万円…。現役脚本家に聞く「シゴトとお金」
チャンスに実力が伴わないと結果は出ない
実家が営む会社の事務をしながら生計を立て、都内のワークショップやスクールに参加。加えて、さまざまなシナリオコンクールに作品を提出するも思うような結果は得られませんでした。
そんな桐山さんに転機が訪れます。以前、勤めていた制作会社の関係者から「アニメの脚本を書かないか?」と声がかかったのです。
「やっぱりチャンスに実力が伴わないと結果は出ない。制作会社にいたときから脚本は見てもらっていたけど、そのときは1本も通らなかったですし。とはいえ、食べられるようになったのはデビューして2年目くらいからですけどね」
アニメ番組は基本的に1~3本立てのストーリーで構成されていますが、1本あたりの単価はいくらなのでしょうか?
最後は営業力?アニメ脚本家で生きるには…
「私の場合、新人のうちは1本の単価が9万円弱。今は上がって12万円です。これにプラスしてDVDの印税が入るので、アニメの年収だけで330万円くらい。あとはほかの仕事のギャラが上乗せされます。
ただ、同業種の仲間と飲みに行ったらレギュラー6本で年収1000万円超えのひともいて。ちょっと驚きましたけど、夢のある仕事だなと思いましたね」
また、実力のある書き手が仕事につながらないのは「営業力のなさ」だと桐山さんは指摘します。
「ワークショップでも飲み会でも、とにかくいろんなところに顔を出して“仕事ください”って言ったほうがいい。私の場合は実家にこもって修行もしたけど、最終的には行動力が脚本家デビューにつながった。プロを目指すなら実力と営業の両方が大事だと思いますよ」
アニメの脚本家は実写ドラマと違い、安定した収入を得られているようです。とはいえ、どちらも生活できるまでには相当な努力が必要……。大変な仕事だと痛感しました。
<取材・文/鈴木旭>