アナ雪は「ありのまま」ではない?Let It Goの正しい意味は
意外!?映画の日本語訳は創作物である
ちょっと前のお話ですが、弊社が、著作権の切れている映画の作品をベースに教材を作ろうとしたときに、日本語訳というのは創作物、つまり訳自体に著作権が発生していると指摘されて、オリジナルの日本語訳で出したことがあります。
日本語訳そのものに著作権というものが存在しているのです。例えばシェイクスピアの『ハムレット』などは翻訳者が違うバージョンを、いろいろな出版社や団体が刊行しています。それぞれに著作権が存在し、まさに同じ状態だといえます。
それにしても今回の「アナ雪」は、あまりにも内容がかけ離れています。ただ、映画の吹替や日本語字幕で似たような出来事はよくあります。あまり知られていませんが、日本語の吹替の内容と、日本語字幕はまったく同じではありません。
なぜなら文語と口語だからです。吹き替えの場合はストーリーの流れから自然なニュアンスでセリフ表現をするという意図もありますし、字幕の場合は画面のスペースに限りがあるため、すべてを表現できないなど、それぞれに限界があるわけです。
映画の意外な面白さに気づけるかも!?
ちなみに、他のところでも「Do you want to build a snow man?」という楽曲がありますが、これは日本語のタイトルだと、「雪だるまつくろう」となります。
正確には「雪だるま作りたくない?」なのですが、それだと曲の雰囲気と日本語歌詞がマッチしません。このように日本語訳をしっかりと当てているわけではないのです。
みなさんも映画を見るときはこういった点にも着目すると、普段と違った面白さに気付けるかもしれません。
もっとも、一番怖いのは「Let It Go」の意味を「ありのまま」というふうに間違って覚えてしまい、それを日常会話で使ってしまうということですが。それだけは要注意してください。
<TEXT/濱野将樹>