石破政権の誕生で政治や経済はどうなる?若者の期待に応えるカギ
2024年9月27日、自民党の総裁選で石破茂氏が決選投票にて高市早苗氏を逆転して総裁の座を勝ち取った。これにより、石破氏が内閣総理大臣に任命され、石破政権が成立。石破新政権は日本の内外の政治や経済にどのような影響を及ぼすのか、海外の情勢に精通しているピエール・パパンさんが国際的視点から分析する。
石破茂氏が決選投票で高市早苗氏に逆転勝利
2024年9月27日に行われた自民党総裁選では、石破茂氏が決選投票で高市早苗氏を逆転して勝利した。
1回目の投票で、石破氏は154票(国会議員票46・党員票108)で181票(国会議員票72・党員票109)の高市氏に27票の差をつけられたが、2人の決選投票では石破氏が215票(国会議員票189・都道府県連票26)、高市氏が194票(国会議員票173・都道府県連地方票21)となり、石破氏が勝利した。
なぜ、石破氏は逆転できたのか。高市氏は首相になっても靖国神社を参拝すると主張しており、高市氏が首相になれば、良好な日韓関係や日米関係にヒビが入ると懸念した議員の票が石破氏に流れた可能性がある。
基本は安定性を重視し岸田政権を継承
では、石破政権になると、我々の政治や経済はどうなっていくのか。まず、政権の人事を見ると、これまで自民党の要職や大臣経験者などが入閣し、何か新しいことに取り組むというよりは安定性を重視した人事となっている。
また、外交でも石破氏は基本的には岸田政権を継承し、米国との関係を第一に、韓国との関係を安定化させ、中国に対しては関係の重要性を訴えるものの、主張するべきことは主張する姿勢に徹することだろう。
課題は経済政策
一方、課題は経済政策ともいわれる。石破氏は防衛や外務などには精通しているが、経済や貿易関連で要職を務めた経験はなく、これまでに日本経済を再生するための強いメッセージなどは発信していない。財務大臣には加藤勝信氏が就任したが、加藤氏は経済政策に精通しているとは言い難い。
よって、石破政権によって経済が活性化し、給与が増える、時給が上がると期待する若者もいるかもしれないが、これまでのところ、これだというような目玉的な経済政策は見られず、大きな期待は持たないほうがよさそうだ。
石破氏は、若年層を惹きつける政策を積極的に進めるというわけではない。若者たちから評価されるポイントは、子ども手当ての充実、女性の社会進出、年金対策などで、どこまで具体的かつ踏み込んだ成果を収めることができるかにかかってくるだろう。