12万円の新型「iPhone14」は今が買い時?新機能満載だが“懸念材料”も
日本時間9月8日早朝、Appleの新商品発表会がストリーミング配信された。発表されたプロダクトは大きく分けて3つで、Apple Watch、AirPods、iPhoneのニューモデルがそれぞれお目見えとなった。
もはや恒例となった秋のiPhone新作発表会だが、今回は新機能のせいもあり、全体として暗い雰囲気が付きまとう映像だった。ここからは、そんな8日の発表会を振り返りつつ、2022年という年の特殊性についても少し考えてみたい。
「命を守る腕時計」に新機能
スマートウォッチの存在がすっかり当たり前になった2022年、Appleは「命を守る腕時計」としての実績をアピールしつつ、Apple Watchのニューモデルをリリースする。ナンバリング最新モデルの「Series 8」(5万9800円~)と、新シリーズの「Apple Watch Ultra」(12万4800円~)である。
センサーの精度向上によって生理周期の管理機能がパワーアップしたほか、最大の目玉となる新機能が「衝突検出」だ。自動車事故に遭遇して意識を失うと、衝撃波の形などからApple Watchが状況を瞬時に把握し、自動的に緊急通報を行う。
実用化のために100万時間を超える自動車の運転、そして実車での衝突実験を繰り返したというのだから、Appleの本気が窺い知れる。有用な機能なのは間違いないが、この紹介のために、プレゼン映像はおどろおどろしいものになっていた。
それとは別に嬉しいのが、Series 8では「低電力モード」で最大36時間の連続稼働が可能になることである。腕時計を毎日充電するのがひどく手間であることには変わりないが、やっと24時間を上回ったわけで、これは長足の進歩と言っていいだろう。
なお、同じタイミングで廉価版の「Apple Watch SE」(3万7800円~)もモデルチェンジされているが、衝突検出機能は未実装となる。
冒険グッズは少年の憧れだけど…
ここ数年のAppleのプロダクトには、一昔前の少年マンガのような名前が付くことが多い。“冒険家”のために開発されたという新しいスマートウォッチは、その名を「Apple Watch Ultra」という。
チタン製ケース採用で在来型のApple Watch以上に過酷な環境にも耐え、バッテリーの持続時間もさらに向上し最大60時間に。より精密なGPS測定が可能になるほか、救助を呼ぶための86デシベルのサイレンも内蔵されている。この性能差が、たとえば雪山で遭難した際に、生死を分けることになる。
精密機械としての完成度には目をみはるばかりだが、正直なところ、日常生活で役に立つのはバッテリーの保ちくらいである。それでは、これを買うのが登山家やマリンスポーツの愛好家ばかりかといえば、おそらくそうではない。スマホ時代における腕時計の位置付けは、実用品というよりも贅沢品である。そうなると、アクティブ系男女の所有感をくすぐるApple Watch Ultraは、実用性以上の魅力を発揮していくだろう。
なおApple Watch Ultraのプレゼン映像は、断崖絶壁というロケーションで撮影されていた。“命の脅威”をあえて強調しながら“安全”を売るのが、IT企業であるAppleの社風に果たして合致するのか、疑問が残るところである。