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「焼肉きんぐ」の1人勝ち?焼肉業界ライバルと明暗の理由は出店戦略にアリ

ビジネス

 コロナ禍で最も悪影響を受けた業界といえば飲食店業界があげられます。特に都心部の店舗や酒類提供をメインとした居酒屋店が影響を受けたと言えるでしょう。しかし、そんな状況下でも焼肉業態の店舗は影響が少ないとされ、今後の成長が期待されていますが、必ずしも飲食業界にとっての救世主にはなり得ないようです。各社動向と市場状況から焼肉業界の今後について考えてみます。

焼肉

画像はイメージです(以下、同じ)

焼肉きんぐ:ロードサイド戦略が好調

「焼肉きんぐ」は食べ放題がウリの焼肉店です。標準的な「きんぐコース」は3278円(税込)で、お肉の他にご飯ものやスープ、スイーツまで付いています。

 同チェーンを運営するのは「株式会社物語コーポレーション」で、(1)焼肉部門、(2)ラーメン部門、(3)ゆず庵部門の3部門が同社売上のほとんどを占めます。(2)では「丸源ラーメン」、(3)では「寿司・しゃぶしゃぶ ゆず庵」を展開しています。3部門とも駅前や都心部ではなくロードサイドに出店する戦略を取っています。2019/6~2022/6期の業績は次の通りです。

【株式会社物語コーポレーション(2019/6期~2022/6期)】
売上高:589億円→580億円→640億円→733億円
営業利益:39.3億円→30.3億円→25.6億円→28.7億円
最終利益:29.4億円→4.6億円→27.3億円→37.3億円
売上高(焼肉部門):301億円→301億円→328億円→390億円
売上高(ラーメン部門):71億円→84億円→92億円→107億円
売上高(ゆず庵部門):106億円→105億円→116億円→126億円

ロードサイド戦略が好成績

焼肉きんぐ

画像は公式サイトより

 2020/6期は全部門でロードサイドへの出店を継続し、(1)は18店舗、(2)は14店舗、(3)10店舗オープンしました。しかし、期末の3~6月は特に飲食業界がコロナによる自粛の影響を受けた時期と重なり、直営店の休業や時短営業が影響して売上高は伸び悩みました。販管費は前年と同じ水準であるため営業利益は減益となり、コロナ関連の特別損失もあいまって最終利益は大幅に減少しました。

 しかし、翌2021/6期は大幅な増収を記録します。期中全体がコロナ禍となっているにも関わらず3部門で出店を続け、いずれも10%近い増収となりました

 コロナ禍では週末の消費者が郊外に流れたため都市部の飲食店が苦戦する一方、郊外型店舗を展開するチェーンは好成績となる例が多く見られます。同社のロードサイド戦略が好成績につながったと言えるでしょう。とはいえ、利益面では苦戦しており、規模拡大に伴う人件費、賃借費の増加が営業減益の要因となりました。

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