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「焼肉きんぐ」の1人勝ち?焼肉業界ライバルと明暗の理由は出店戦略にアリ

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食べ放題を始めてみたものの…

株価

 2020/3期は(1)で令和改元やハロウィンに関連した各種キャンペーンを実施しましたが、客足離れが止まらず店舗数を削減しました。(2)でも同様に、松坂牛カルビ販売などのキャンペーンやLINEクーポン配布などの集客施策を行いましたが、増収にはつながらなかったようです。

 翌2021/3期は競合である「焼肉きんぐ」の好調を見てか、食べ放題人気にあやかるべく(1)で食べ放題メニューを拡充するものの規模縮小が続きました。(2)ではコロナに対応したテイクアウトメニューを開発したほか、山形堪能フェアなどの施策を行いましたが、こちらも不調だったようです。

 同年から(3)事業も加わり、全社の売上高は大きく伸びました。しかし、アークミールはもともと吉野家HD内での不採算事業であり、7.5億円のセグメント損失もあって全社利益は大幅な赤字となりました

 2022/3期は(1)で夏限定メニューやランチメニューの開発し、(2)でランチ限定食べ放題メニューを開発するなど、焼肉事業で新メニュー開発に努めましたが、依然客離れが続いています。(3)でも同様にメニュー開発や各種フェアで集客促進を行うも不調となりました。そもそもアークミール事業は、焼肉事業と仕入・物流を統合することで全社で低コスト化に貢献することを期待されていましたが、それも叶わなかったようです。なお、助成金収入で最終利益は黒字を確保しています。

 以上のように安楽亭は焼肉事業の不調が続き、頼みの綱であったアークミール業態も業績が悪化していることが分かります。なお、2023/3期は3割増収を見込んでいますが、1Q時点の成績を見る限り、今のところ達成はできそうです。

牛角:総合飲食チェーンの一角を担う

牛角

画像は公式サイトより

 牛角は株式会社コロワイド傘下の「レインズインターナショナル」が運営しており、コロワイドは「牛角」以外にも「カルビ大将」「大戸屋」「かっぱ寿司」などを要する総合飲食チェーンです。主要セグメントの分類及び近年の業績は以下の通りです。

(1)コロワイドMD:FC店を含めたグループ内の商品開発・調達・生産企業。2022/3期売上高643億円
(2)アトム:「ステーキ宮」、「カルビ大将」などを展開。同311億円
(3)レインズインターナショナル:「牛角」、「しゃぶしゃぶ温野菜」、「土間土間」など。同566億円
(4)カッパ・クリエイト:「かっぱ寿司」などを展開、2014年コロワイド傘下に。同672億円
(5)大戸屋HD:「大戸屋」など、2020年コロワイド傘下に。同188億円

【株式会社コロワイド(2019/3期~2022/3期)】
売上高:2444億円→2353億円→1682億円→1756億円
営業利益:40.8億円→▲46.1億円→▲131.6億円→50.6億円
最終利益:6.3億円→▲64.5億円→▲100.9億円→14.4億円
売上高(レインズインターナショナル):804億円→1078億円→602億円→566億円

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