23歳の元プロゲーマーを直撃「セカンドキャリアどうしてる?」
新卒の学生たちが、キャリアの第一歩を踏み出そうとするなか、すでにセカンドキャリアのスタートを切っている者もいる。
ゲーム解説者の清水航氏(しみず・わたる。23歳)。eスポーツ業界では「Day1」(Twitter:@Day1week)の名で知られている。
※eスポーツ=エレクトロニック・スポーツ。コンピューターゲーム、ビデオゲームを使った対戦をスポーツ競技として捉える際の名称
Day1氏は対戦型ネットゲーム「リーグ・オブ・レジェンド」(以下、LoL)のプロプレイヤーだったが、昨年からはゲーム解説者として活動し始めた。
昨今、注目の集まっているeスポーツ業界だが、その中で彼が思い描く未来とはどんなものだろうか?
※「リーグ・オブ・レジェンド」=米国企業・ライアットゲームズの手がける対戦ゲーム。世界のプレイヤー数は1億人以上と、もっとも規模が大きい対戦ゲームのひとつと言われている。5対5のチーム戦で、キャラクターの持つさまざまな能力を駆使して、敵基地を制圧する。チームワークのほか全体の流れを読む戦略性や発想力、反射神経なども要求される
ゲーム解説者の仕事とは?
――まず、現在のゲーム解説者としての仕事内容を教えてください。
Day1:2017年6月から、LoLの日本リーグ「LJL CS」の技術解説を担当しています。日本のプロリーグは2つあり、1部リーグは「LJL」、2部リーグは「LJL CS」となっています。実況アナウンサーであるkatsudion(Twitter:@katsudion)さんと二人三脚でやっていますね。
フリーランスの立場なので、「LJL CS」以外でも活動しており、先日は「OPENREC.tv」(動画配信サイト)のLJLrevewという番組で解説を担当しました。
――そもそも、ゲームの実況と解説というのは、どういったことをするのですか?
Day1:大雑把な説明になりますが、実況はゲーム内で起こっていることを言葉で伝えます。たとえば「A選手が、◯◯◯という技を使って、B選手を倒しました」といった形ですね。LoLは敵味方10人が入り乱れるので、大変忙しい立場です。
技術解説となると、注目すべき点はどこか、今のプレーはなぜうまくいったのか、もしくはいかなかったのか、などを掘り下げていきます。まあ、想像を超えるようなスーパープレーが出ると、ひたすら感嘆していたりもしますが(笑)。
視聴者の知識にもそれぞれ差があるので、それを埋めて、誰もが観戦を楽しめるようにする役目でしょうね。
――以前の放送でも「ここで、半歩下がれるのがすごい!」と細かいプレーに注目する姿勢を評価する声がありました。
Day1:それがウケるのはありがたいことです。今はそういう細かいところを意識して、どんどん掘り下げる方向性でやっています。
ただ、こうなるまでには、少し時間がかかりました。というのも、LoLの解説者にはRevol(Twitter:@krevol)さんという先駆者がいるんです(※現在、1部リーグの解説者を勤めている)。僕より何年も前から解説をしていますし、選手や他国チームの動向などについても、ものすごく知識がある。あのレベルに達するのは難しいものがあるなと。
一方で、ゲームの中の話になると、Revolさんはゲームの盤面全体を見る解説を得意としていますが、自分は細かいプレーを拾っていくのが得意という違いがあります。それに気づいてからは、意識しすぎるよりは、お互いの持ち味を補えればいいやと、いい意味で力が抜けてきました。
――解説のために参考にしたものはありますか?
Day1:いろいろありますが、近々では平昌オリンピックはすごく参考になりました。特にハーフパイプの解説は、「渋い!」とか「かっこいい!」などとわかりやすい言葉を使っていたんです。おかげで今のプレーが良かったのか悪かったのか、簡潔に伝わる。なるほどなあと。
テレビだと、知らない人にもわかりやすいような解説をするじゃないですか。それを聞きつつ、「解説は何を意図しているのか?」と考えるようになりましたね。
――気になるお給料ですが、どういった体系なんでしょうか?
Day1:フリーなので一回単位です。具体的な金額は守秘義務があるのでごめんなさい。ただ、プロプレイヤーだった頃と比べて多くはないですし、同世代の平均と比べても少ないです。というか、比べてしまうと、結構、落ち込みます(笑)。今後、イベントでの解説が増えていけば、上向いていくのでしょうけれども。
――プロプレーヤーから解説者へ、本格的に転身したのは日本では初めてとのことですね。その経緯を教えてください。
Day1:Twitterで自分の動向を報告するようにしているのですが、所属チームを抜けたことをツイートしたところ、すぐに実況解説者のkatsudionさんから声をかけられたんです。
「トライアウトというか実技面接みたいな感じのテストを受けてみないか」と。候補は何人かいたようですが、なんとか合格することができました。