日本と海外の美容院で働いた女性、働き方と“給料の安さ”に驚いた
少子化も伴って、若者の海外離れが取り上げられてはいるものの、いつの時代も海外暮らしに憧れる若者は一定数います。今回は、日本とスペインの2か国で働いた2人の女性に話を聞いて、両国の価値観の違いに驚いたエピソードを語ってもらいました。
「当たり前だと思っていたことが、海外では当たり前ではない」と、日本を出て初めて気付いたと語るのは、スペインの美容院で働いた経験のある沢木千紗さん(仮名・29歳)。
東京の美容院からスペインに
沢木さんがスペインに移住したのは2018年。以前は、東京の美容院で6年間働いていました。過去の勤務先では、1分でも遅刻をすると罰金。時間にはかなり神経質になっていた沢木さんですが、スペインの美容院に就職して早々、遅刻をしてしまいます。
「その日は、バスが遅れていました。バス停から勤務先まで、大急ぎで走って汗だくで出勤したんです。時計を見ると5分過ぎている。『すいません』と謝ると、スペイン人のチーフから、『どうして謝るの? 時間通りに来てるじゃない』と言われ、驚きました。わたしの中では『5分“も”遅れてしまった』と思っていたので(笑)」
スペインでは日本のような出勤時のタイムカードはありません。1分でも遅刻になる日本に比べ、5~10分の遅刻は「そういうときもあるよね」で、すまされるのだとか。その分、10分多めに働いて帰るなど、スタッフ全員が遅刻にもフレキシブルに対応しているそうです。
時間の流れがゆったりしている
「時間の価値観が全然ちがいますね」と沢木さんは言います。
「日本では、10分お客様を待たせるとアウトでした。なので、常に『時間ピッタリに、遅れないこと』を意識していました。時間が押している日や予約が詰まっている日は、ご飯を食べないのも当たり前。
ところがスペインでは、お客様から『ご飯食べてないの? わたし急いでないから、何か食べておいで』と言われます。30分遅れてくる方もいるので、予約の取り方も比較的ゆとりがある。美容院の中だけではなく、社会全体における時間の流れがゆったりしていると感じますね」
他にも、日本では先輩の目を気にして取れなかった有給も、しっかり年に4週間休むことができ、プライベートが充実したそうです。ただスペインで働くことは、「良いことばかりではない」と沢木さんは言います。