オードリーも出演「関東芸人の聖地」がコロナで存続の危機。管理人が語る、逆転の一手
東京都中野区、西武新宿線沼袋駅から歩いて約10分。“関東芸人の聖地”と呼ばれる、座席数40ほどの小さな劇場があります。「中野Studio twl」(通称:中野twl)は1999年の設立から21年間にわたり、かけだしの芸人たちが舞台に立つことのできる数少ない劇場として、その活動を支えてきました。
サンドウィッチマンやオードリー、アルコ&ピースなど、中野Studio twlに出演したあとにブレイクした芸人も多く、“関東お笑い芸人の聖地”や“オードリーの聖地”と呼ばれています。
しかし、2020年から始まった新型コロナウイルス感染症の流行、そして2度の緊急事態宣言発令により、いま存続の危機に瀕しています。そこで今回は、中野twl管理人の布施ひとみさんに、これまでの歩みや存続をかけ、2020年12月11日から始めたクラウドファンディングの経緯などを聞きました。
「閉めたくない」の一心で管理人に
管理人の布施さんは、設立から1年ほどの2000年からボランティアスタッフとして、劇場の運営に関わっていたといいます。
「客として通っていた別の劇場に中野twlのボランティアスタッフ募集のチラシがおいてあったんです。それを見たのがきっかけでした。当初は昼に働いて、仕事が終わったら通う生活でした。3~4年たって、中野twlを運営する企業の正社員として採用されたんです」(布施さん、以下同じ)
その後、2010年に管理人を就任することに。
「2010年に代表が運営から離れることになりました。そこでいったん閉店するか相談されたんです。10年以上運営してきて、閉めるのはもったいないという思いもあり、また代表が運営の相談に乗ってくれるともおっしゃっていたので、管理人になることを決めました」
オープン当時は貴重な“お笑い専門劇場”だった
布施さんは、初めて中野twlを訪れたときのことを振り返り、「なんだか不思議な場所だった」と話します。
「当時(2000年)はお笑い専門のライブハウスや劇場はほとんどありませんでした。都内に3、4件しかなかったはずです。2016年まであった、渋谷のシアターD、新宿Fu-(新宿永谷ホール)、そして中野twlだったと思います。お笑いの出来る貴重な劇場のひとつだと思っていました。ただ、行ってみるとマンションの地下1階にあって、靴を脱いで入らなくてはいけない。不思議な場所だなと思ったことを覚えています」
現在は“お笑い専門のライブハウス”のイメージが強いですが、設立当初は主に演劇を行う劇場だったとか。
「スタッフになってしばらくして聞いた話ですが、代表のご両親が名古屋で劇団をやっており、もともとはその劇団の東京公演のために作られた場所だったそうです。ただ、劇団の公演は1年に2回あるくらい。間を埋めるためにお笑い芸人さんを呼んだのが始まりでした」