エイベックス直営の大型ナイトクラブ「身分証フリー」で楽しめる理由
六本木の夜と言えば、大人が上質な遊びを求めて訪れる印象を持つ。キャバクラや会員制バーなど、渋谷や新宿とは異なる「高級感」や「セレブリティ」という言葉がしっくりくるようなスポットが多く点在している。
六本木のナイトクラブも六本木通り沿いや西麻布界隈にひしめいており、週末の夜には多くの来場客で賑わいを見せている。2019年2月にオープンしたナイトクラブ「SEL OCTAGON TOKYO(セルオクタゴン東京、以下オクタゴン)」を運営するのはエイベックス・エンタテインメント株式会社。
1周年を迎えたこのナイトクラブのスーパーバイザーを務める平松圭氏に、六本木のナイトクラブ事情について伺った。
六本木のナイトシーンを牽引した「ヴェルファーレ」
六本木のナイトクラブの歴史を語る上で、1990年代前半に一世を風靡した「ジュリアナ東京」は外せないだろう。「お立ち台」や「ボディコン」などを生み出し、社会現象にもなった伝説のディスコであり、当時を知る世代にとっては今なお語り草になっている。
ジュリアナ東京が閉店した後に、六本木のナイトクラブシーンを牽引したのが「ヴェルファーレ」だ。ユーロービートやトランス、ジュリアナテクノなどのダンスミュージックをクラブに定着させ、「ダンス・ムーヴメント」を生み出した。
実は平松氏自身、ヴェルファーレのプロモーションを企画し、数々のブームを仕掛けた張本人でもあるのだ。
「今から26年前にヴェルファーレがオープンして以来、ユーロービートやトランスといった洋楽はもちろん、ヴェルファーレ発信でJ-POPの新人アーティストのライブを行い、ヒット曲を生み出していきました。ディスコ全盛期とはまた違う、クラブ発の流行を作り出し、2007年の閉店に至るまで六本木のナイトシーンの一時代を築いてきたクラブでした」(平松氏、以下同)
クラブが主導したダンス・ムーヴメント
エイベックスは、ヴェルファーレとともに成長を歩んだといっても過言ではない。ダンス&ボーカルグループ「TRF」を皮切りに、小室哲哉がプロデュースした篠原涼子やhitomi、安室奈美恵、globe、華原朋美らに代表される「小室ファミリー」の楽曲は「エイベックス・サウンド」とも称される。
クラブが主導してダンスミュージック文化を創り、流行を生み出した経験を平松氏は次のように説いた。
「ユーロビートをヒットさせるためにパラパラブームを仕掛け、当時コアなサウンドだったトランスを『サイバートランス』と銘打ち、一般の方でも楽しめるように仕掛けました。また、ヴェルファーレのフロアでかかっていたダンスミュージックをセレクトしたコンピレーションアルバムCDを発売するなど、踊る場所としてのクラブ以外の付加価値を見出すよう工夫していましたね」