金融ど素人が「積立投資」を始めたら…20代からの資産形成
いま高齢化社会を取り巻く日本の環境は複雑に変化しています。金融庁が6月3日に公表した「老後資金2000万円」という報告書にも少なからずその状況が影響しています。
いくぶんメディアがセンセーショナルに取り上げたきらいはありますが、20代の若者でも将来のため、公的年金以外の収入源が必要であるということは、誰しもが一致するとことではないでしょうか。
親の世代よりも少ない手取り、退職金や年金。投資に興味はあるものの、管理の手間はなるべくかけたくないし損はしたくない。
20代から始める資産形成のテクニックを紹介する本連載。今回は、そんなニーズを持つ投資初心者に向けて、「積立投資」、またしばしば「ほったらかし投資」とも呼ばれる運用手法の紹介します。
少額の積立投資を始め、運用が軌道に
実際に積立投資を実践しているAさんに話を伺いました。彼は都内のシステム会社に勤める30歳のサラリーマンで、一人暮らし、年収450万円です。
「2015年からNISA枠を利用して、毎月3.5万円ずつ積立投資をしています。購入しているのは、日経市場全体にリスクを分散できる『eMAXIS 日経225インデックス』です。(2019年4月時点の)投資額約200万円に対して、運用資産は約230万円に増えています。運用成績ももちろん管理に手間がかからないことにも満足しています」
将来の生活に漠然とした不安を抱いていたことが、投資へ関心を持つきっかけになったそうですが、「毎日の運用状況に振り回されたくないという気持ちと少額からでも始められる」という理由から、リスク分散型の商品で積立投資を始めたとのことです。
積立投資とは「同じ商品を、同じ期間ごとに、同じ金額だけ購入する」投資手法です。
「積立投資」が初心者に最適な3つの理由
投資を始めるときの最大の悩みは、何を、いつ、いくら購入すべきかという判断でしょうが、この悩みにダイレクトに答えてくれる上にリスクも低減してくれる積立投資は、まさに初心者に打って付けの投資方法といえます。投資初心者に向いているメリットは主に3つあります。
1つ目は、少額から投資をはじめられる点です。積立投資は1000円単位で自由に投資金額が設定できるため、日常生活に無理のない範囲での投資が可能です。
2つ目は、投資リスクを軽減しリターンを得やすいことです。1か月などの定期間ごとに少額を購入するため、市況が大きく変動した場面でも購入単価を平均化し、初心者が陥りがちな「高値づかみ」を避けることができます。
市況が下がった場面で購入した分は、市況が戻った際に大きくリターンに貢献してくれることになります(「ドル・コスト平均法」と呼ばれる理論に基づきます)。
3つ目は、先程も触れましたが、日々の管理が楽な点です。投資リスクが軽減されることから不安も少ないですし、投資対象、期間、金額を決めておけば、指示通りに自動的に投資されます。日々の価格変動、購入の作業に気を使わなくて済むため運用のストレスは非常に少ないといえます。