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近くのブラック企業をプッシュ通知!元新聞社社員が生んだ異色アプリ

ビジネス

 日本全国のブラック企業を地図上にマッピングした「ブラック企業マップ」を覚えているだろうか。厚生労働省が発表している「労働基準関係法令違反に係る公表事案」に掲載されている企業を、ドクロのアイコンで地図上に表示したサイトのことだ。

 昨年12月末頃に公開され、ネットでは「日本中ブラック企業だらけ」「これも氷山の一角だ」などさまざまな声が噴出したのは記憶に新しい。

 そんななか、私たちの周囲にあるブラック企業をプッシュ通知で知らせてくれる「ブラックアラート」なるアプリが1月13日頃、リリースされた。一部で話題を呼んでいるこのアプリについて、今回、開発者である男性Nさん(27歳)に話を聞いた。

ブラックアラート

Nさんが開発した「ブラックアラート」。日本中、ブラック企業だらけなのがわかる

開発は「あくまで好奇心」がきっかけ

 以前から個人事業主としてシステム開発をしているというNさん。そもそもなぜ「ブラックアラート」を開発したのだろうか?

「きっかけはやはり『ブラック企業マップ』でした。とても面白いサービスだなと思うと同時に、失礼ながら、これなら私にも作れる! と思いました(笑)。そして、もしアプリ版を作ったら、位置情報システムも使えて、新たな試みもできる気がしたんです」

 ブラック企業を撲滅したい! みたいな真面目な意志ではなく、「あくまで好奇心がメイン」のようだ。しかも「ブラック企業マップの開発者にはまだコンタクトできていない」と告白。

 とはいえ、同アプリを使ってみると、完成度の高さに驚く。職場近くのブラック企業がきちんとプッシュ通知され、また、その企業がブラック企業である理由まで網羅されている。単なる好奇心でここまでのアプリができるのものなのか?

「企画してリリースまで1か月もかかりませんでした。実際かかった日数も5日間くらいですよ。あとはapp storeで販売するための審査期間ですね。審査に出して2週間後、突然、午前2~3時くらいにアップルからメールがきて、『ブラック企業はどうやって決めたの?』って英語で質問されました」

もともとは大手新聞社の子会社にいた

ブラックアラート

「1万ダウンロードされたがそこまでは儲かっていない」とNさん

 ネット辞書を引きながら「出典は厚生労働省が出しているデータです」と返事したNさん。すぐOKが出たそうだが、「下品なアプリと判断されたのか、国内限定のリリースでしたが(笑)」と笑う。

 そんな「ブラックアラート」、開発期間こそ短いものの、リリース直後からニュースメディアで取り上げられるなど話題に。3日間で1万ダウンロードを記録し、本人も「これまで3つアプリを開発しましたが、最高記録です!」と喜ぶ。

 そんなNさん、もともとはある大手新聞社の子会社にいたという。仕事は新聞印刷業で、夜通し働くこともあり、なかなかブラックな環境だったという。

「入社3年目ながら年収はやや高めの500万円ほどありました。ただ、長時間勤務なうえ、時間帯も不規則。正直、仕事には全然満足いってませんでした。そこで、一念発起し、ITパスポートというテック系の資格を取ったんです。それで会社の希望退職に応じ、退職金500万円ゲット。転職活動をし、全く別のIT業界に飛び込みました」

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