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「飲み会ではソフトドリンク禁止」アルハラ上司の洗脳で自分も加害者に…

学び

被害者から加害者に。「洗脳されてたのかも」

悩む女性・黒バック

 そんなとき、事件は起こりました。

「新入社員の歓迎会の翌日、人事部に呼び出されました。新入社員が、上司と私の飲み会での発言を“アルハラ”だと訴えているという内容だったんです」

 なんと、これまでアルハラに耐えていた里田さんが、突如加害者となってしまったのです。

「確かに、上司がその新入社員に『お前も飲め』と言ったとき、『飲んでおいたほうがいいよ』と言いました。私としては、部署の処世術としてアドバイスしたつもりだったのですが、冷静に考えると、アルハラと言われてもしょうがない発言だったと思います」

「今思うと、洗脳されていたのかもしれない」と当時を振り返る里田さん。大の苦手だった上司と同じ扱いを受けてしまいました。人事部からは注意で済んだものの、職場の飲み会について考える契機になったそうです。

「その後、部を異動したこともあり、アルハラ上司からは脱することができました。異動してみると、あの部がどれだけ異常だったかわかります」

アルハラ上司を反面教師に、考えを改め…

 異動後の部署でも飲み会はあるそうですが、里田さんの向き合い方は変わったとか。

「参加しなければならないという考え方はやめました。自分が楽しめると思えた飲み会には、積極的に参加しています。会社の飲み会は業務の延長のように感じていましたが、今では楽しい場に感じられるようになりました」

 お酒が飲めない人や新人社員は、早めに帰れるよう取り図るなど、周りへの気配りも忘れません。アルハラ上司を反面教師にしたことで、飲み会以外の場でも、同僚へのコミュニケーションが円滑になったそう。

「飲み会で同僚の意外な一面が知れたり、親睦が深まることがあるのは事実です。せっかく長い時間を共に過ごすメンバーなのですから、仲良く働けたら嬉しいこと。ですが、そこに力関係を持ち込んだら、一気につまらない席になってしまいます。もちろん参加しないのも選択肢のひとつだし、参加できない人が職場で不利になるのも違う。私は異動で脱出することができましたが、アルハラを受けているかもと感じたら、ひとりで悩まず誰かに相談してみてください。同じことを感じている人やおかしいと思う人がいれば解決策も見つかるはず。飲み会で仕事が評価されるなんて絶対おかしいことですからね」

 里田さんは自身の間違いに気づくことができましたが、気づくことなく無意識にアルハラをしてしまっている人も多いのではないでしょうか。

 自分だけでなく、周りの人も飲みの席を楽しめているかを見渡してみるのも良いかも。せっかく参加するのであれば、会社の飲み会は立場や社歴関係なくフラットな会話を楽しめる場であってほしいものですね。

― 特集・[飲みハラ]実況中継 Vol.1 ―

<取材・文・撮影/井澤梓>

金融機関、人材系ベンチャーを経てライターに。ビジネス系インタビューから体当たり体験レポートまで多様なジャンルで執筆中。株式会社カタル代表

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