「好きなことで本当に稼げるのか?」25歳女YouTuberの新しい働き方
AIだのベーシックインカムだのと騒がれ、労働観が根底から変わりつつある現代。
かつて養老孟司氏は著書『超バカの壁』で「道に穴が空いていた。そのまま放っておくとみんなが転んで困るから、そこを埋めてみる。それが仕事というものであって、自分に合った穴が空いているはずだなんて、ふざけたことを考えるんじゃない」と述べました。
しかし、自分に合わない穴をただ埋めるだけの作業は、なるべくやりたくない。そんな「好きなことで生きていく」価値観が若者のなかに浸透しつつあります。
とりわけその代表格が「YouTuber」です。2013年7月にYouTubeチャンネル「無駄づくり/MUDA-ZUKURI」を開設し、頭の中に浮かんだ「不必要な物」を工作する「無駄づくり」活動をする藤原麻里菜さん。
25歳という若さで突飛かつどこか親しみ深い200以上の「不必要な発明品」をこれまでに制作した彼女の「好きなことを続けて、ほどほどに暮らせる新しい稼ぎ方」を紹介した著書『無駄なことを続けるために ~ほどほどに暮らせる稼ぎ方~』が本日16日に刊行。
そこで、その紆余曲折の半生や、好きなことで本当に稼げるのか? を聞きました。
20代前半でお笑い芸人の夢に見切りをつけた
――早速ですが、まずは本書を書いた経緯から教えてください。
藤原麻里菜(以下、藤原):YouTuberの活動が少しずつお金になってきたタイミングで、ウェブの『現代ビジネス』からお声をかけていただいて記事を書いたのが直接のきっかけですね。
今回、書籍の話をいただいた時も「自分がビジネス書?」とか全然考えられなかったんですけど、書くことで自分自身もいろいろわかることもあるかなと思って、その結果、いろんな人のヒントになったらいいなと。
私の周りの友達でも「明確に好きなことがあるのにお金の問題で続けられない」「すごく良いもの作っているのにあんまりお金にはなっていない」という人が多かったので、そういう身近な人のことも想像しつつ書きました。
――藤原さんは高校卒業後、お笑い芸人を目指して東京NSCに入られていますが、現在、芸人のほうは引退しているとのことですね。
藤原:芸人は真剣に目指していました。自分のネガティブな感情が活動の根底にあるんですけど、ピン芸人としてそういうネタも作れて、結構自分の中では満足していました。
ただ、いかんせんうまくしゃべれなかったりとかサービス精神のなさで人を楽しませられなかったりとかして。結果、これは向いてないってだんだん顕著にわかっちゃって……。
――そもそもお笑い芸人を目指したのは、またどうしてですか。
藤原:高校時代からお笑いライブ行ったり、千鳥さんが好きで千鳥さんのローカル番組を見るために、大阪にわざわざ行ったりしていました。お笑いライブってピラミッド構造で、ある時、一番レベルが下のお笑いライブ観たら本当につまらなくて(笑)。
私、他人のことすぐナメる癖もあって、「こんなつまらない人が芸人名乗れるなら、私のほうが絶対おもしろい!」と、完全にナメて芸人になった感じ。でも実際は全然難しかったという(笑)。