橋本愛の人生観に、渡辺大知がビックリ「こんな22歳、いない」
ふたりがこれまでに学んできたこと
――登場人物たちの現在は20代の社会人で、読者と同世代です。橋本さん、渡辺さんも20代ですが、仕事をしていくうえで、影響を受けた人、先輩の言葉などはありますか?
渡辺:同じ業種の人とかじゃないんですけど。僕は親から教わったと感じていることがあります。直接、言葉で言われたわけではないのですが、「好きなことをとことんしなさい。でもそれには覚悟が必要。責任を持って好きなことをしなさい」といったことを、父の背中から学びました。
橋本:背中で語るご家族。ステキです。
渡辺:父は本当に好き放題やってるんですけど、そこに覚悟も感じてきました。好きなことを仕事にしようと思っているならなおのこと、その覚悟と責任を持たなければならない。ちゃんと自分のケツを拭けるように、好きなことをしていきたい。そう、僕も思っています。
橋本:私は、影響受けた言葉とか、人とか、難しいなぁ。
――自分自身で、こういうことは大切にしているといったことでも。
橋本:状況から教えてもらうことが多いですね。今これをやりたいと思って、やってみたけれど、失敗してしまったとする。それは、それをやるための何かの材料が足りなかったから、まだやるべきじゃなかったんだ、まずはこっちを先にやろうという感じで。その都度、人や状況から教わっています。たとえば本もそう。その時に読んだ本で、どこか一番引っ掛かった言葉があったとします。それって、相対的に考えて、その言葉に出会うために、私は今この本を読んだんだなと感じるんです。
渡辺:わー、すごいね。
――すべてのことが繋がっているんですね。
橋本:はい。すべてが連続しているから、落ち込むことはあっても、本当の意味での絶望ってないんです。先に続いていると分かっているから。大丈夫という確信があるから。だから打ちのめされたりしないんです。
渡辺:こんなにどっしりした22歳、いないよ。
――渡辺さんは、28歳ですよね。
渡辺:そうです。な、なんだよ!(笑)
――いえいえ。高校生役もぴったりでした。
渡辺:ギリですよ。今回で最後です。
映画ならではの歌のシーンが意味するもの
――本作はそれぞれのエピソードが、椎名くんを軸にしながら、時代もバラバラに、交わることもなく進んでいきます。ただクライマックスで、それぞれが同じ歌を口ずさみます。
橋本:歌のシーンはどうなるのか分かりませんでした。直前に決まったので。
――直前に?
渡辺:クランクイン直前に決まったんだよね。
橋本:台本にはなかったんです。歌詞を渡されて、どこかで歌いますと。実際の撮影では、私、最初はめちゃくちゃ大声で歌ったんです。
渡辺:そうなの?
橋本:緊張もあったけど、私、歌うことが大好きなんですよ。だから、「超きもちいい~!」みたいな感じで歌ったら、「はい、もう1回。ちょっと控えめに」と言われて。あ、そうですよね、と(苦笑)。だから最初は大知くんばりに歌ってたんです。
――渡辺さんは、役として抑えたのだとは思いますけれど、やっぱり歌のうまさが出ていました。
渡辺:うまく歌おうとは1ミリも思わなくて、気持ちでいきました。ただ気持ちが入り過ぎましたね(笑)。あと、僕はバイクで走りながら歌ったんですが、大きい声でないと音を拾えなかったんです。そのときに、ゴニョゴニョと「これ、アフレコでもう1回歌ってもらうことになるな」みたいな会話が聞こえたんですよ。それで悔しくて、めっちゃ張って歌ってしまいました(笑)。そしたら、アフレコはなしになったんです。
――そうなんですね。でも実はそのゴニョゴニョも、名匠と言われる廣木監督の演出だったとか。
渡辺:ああ! そうだったりして。そうか、僕は監督の手のひらで転がされたのか。そうでしたかぁ(笑)。
橋本:アハハ。あの歌に関しては、みんなが歌うということは、ある意味似たもの同士といえる登場人物たちが、みんなあの曲を知っていたから口ずさめたわけですよね。知らず知らずのうちにみんなが何かを共有していたということを、あの歌が表しているのだと思います。そうやってこの映画を仕上げるというのが、廣木監督はやっぱりすごいと思いました。
<取材・文・撮影/望月ふみ 橋本愛:メイク 津田雅世(モッズ・ヘア)/ヘア 夛田恵子(モッズ・ヘア)/スタイリスト 飯田珠緒、渡辺大知:ヘアメイク 吉村健(AVGVST)/スタイリストShinya Tokita>
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