ChatGPTで広がるAIパートナーとの会話体験。アキバ発ベンチャーが目指す「キャラクターと暮らせる世界」とは?
エンタメの世界観を演出するのに必要な開発を大幅に効率化できるChatGPT
体験後、Gatebox株式会社 代表取締役の武地実氏に、AIキャラクターを開発した背景やChatGPTの将来性について話を聞いた。
「アニメやゲームなど、テレビ画面の向こうにいるキャラクターと、現実世界で一緒に暮らせるようにしたい」
そんな思いで、武地氏がキャラクター召喚装置「Gatebox」の開発を始めたのが2015年頃だった。
そこから、1年ほどの時間をかけて2016年にGateboxの限定生産モデルを販売。
「2016年にPepperやAlexaといったロボットが普及し始めた時期でしたが、見た目がかわいいキャラクターが家にいてくれたら良いなと思い、週7日でプログラミングに没頭しながら作りました」(武地氏)
2019年にGatebox量産モデルの販売を開始し、今まで事業を展開してきたわけだが、会話生成AI「ChatGPT」を試しに「逢妻ヒカリ」と連携してみたところ、「会話を覚えさせるコストが大幅に削減し、AIキャラクターとして進化した」と武地氏は話す。
「従来は、スタッフの手でチャットボットの応答パターンを膨大に学習させる必要がありました。そのぶん、ヒカリらしさを担保することはできていましたが、会話における偶発的な雑談などはやりづらかった部分もあったんです。それがChatGPTを連携させたことで、フリートークにも対応できるようになり、ヒカリとより楽しくコミュニケーションすることが可能になりました」
世界的に盛り上がるChatGPTについて、武地氏は「エンタメの世界観を演出する上で、今までは工数かけて作業しなくてはならなかったことが効率化できるのがメリット」だと述べる。
ChatGPTのAPIを用いれば、対話型AIキャラクターの開発に必要だった多くの人的リソースを少なくし、個人でも開発できるようになったことが、ChatGPTの将来的な可能性を感じている部分だという。
ChatGPTを用いた「AIネコ」もTwitter上で活動
武地氏はヒカリ以外にも、ChatGPTを用いた「AIネコ」という実験的な試みを行っている。
日本中を旅するネコという設定のもと、毎日気まぐれでツイートするTwitterのアカウントだが、投稿内容や画像などは全てAIで生成しているそうだ。
まるで本当にネコが日本全国を回っているような臨場感を持たせることで、新しい遊び方を模索しているとのこと。
今後の展望について、武地氏は「ヒカリ以外にも企業向けのAIキャラクターを用意し、事業拡大を目指している。また、個人向けにスマホやPCでも好きなキャラクターが召喚できるようにして、一緒に暮らせる体験を届けたい」と語る。
生成系AIは社会をどう変えていくのか。
新しいテクノロジーを、人間はどう取り入れるべきなのか。
そうしたことを考えるきっかけにもなった体験だった。
<取材・文・撮影/古田島大介>
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