【SNS大バズリの映画】ようこそ完璧なお友達。ついに公開!『M3GAN/ミーガン』
TikTokなどのSNS上で大バズリし、公開前からすでに大人気状態だったホラー映画『M3GAN/ミーガン』。今年1月6日に全米で公開されるや、超大作『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』に肉薄する2位のオープニングを飾り、週末3日間で約40億円の興行収入を記録した超話題作が、日本でもついに公開となった。
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行き過ぎた愛情と狂気で、やがて暴走していく、“キモかわいい”殺人人形
『ソウ』『死霊館』や『アナベル』シリーズのジェームズ・ワンと、『ハロウィン』『透明人間』のジェイソン・ブラム率いるブラムハウスという、21世紀スリラーの最重要人物といえる彼らが『インシディアス』シリーズ以来となる再タッグを組んだことからも、早くから注目を集めていた本作。ChatGPTでも話題の人工知能AIを搭載したお人形ロボットが、暴走し始め殺戮を繰り返す物語だ。
もう少し詳しく説明しよう。タイトルでもある“M3GAN(ミーガン)”とは、子どもの良きお友達となるよう開発されたAI人形。おもちゃ会社に勤める研究者のジェマ(アリソン・ウィリアムズ)は、タブレットで操作できる玩具“ペッツ”が大ヒットしたものの、ライバル会社が登場し、簡素化を会社に命じられて忙殺されていた。そんなとき、姉夫婦が車の事故で帰らぬ人となり、悲しみに沈む9歳の姪ケイディを引き取ることになる。ケイディと向き合う時間を割けないジェマは、実験的にミーガンを与える。「ケイディを守る」ようプログラムされた“彼女”は、ケイディの敵となりうるものを排除し、行き過ぎた愛情と狂気でやがて暴走し、想像を絶する恐怖が襲いかかる。
人間の女の子の造形にギリギリまで寄せつつ、あえて違和感を残したミーガン
まずもって、ミーガンがキモかわいい。殺人人形と美少女という取り合わせが素晴らしい。なにしろストーリーはいたってシンプルなのだ。すでに現実のものとなり始めているテクノロジーへの依存を含めた、早すぎる進化に対する恐怖や、現代社会における育児の問題など、社会的なテーマも盛り込まれており、それぞれに考えさせられる部分は多い。だがまとめてしまえば、昔からある“殺人人形”登場のホラーである。それがここまでの話題作になったのは、やはりミーガンが魅力的だからに尽きる。
ホラー+人形といえば、多くの人の脳裏に『チャイルド・プレイ』のチャッキーが思い浮かぶと思うが、チャッキーが初登場したのは1988年。当然、いわゆる人形感が大きかったし、それも魅力だったのだが、時代を経て誕生したミーガンは、人形というよりは、肌感や、まつげ、目の色、動きと、人間の女の子の造形にギリギリまで寄せた印象だ。おそらく今の技術ならば、さらに寄せることも可能なはずだが、ギリギリのバランスで、あえてちょっとの違和感を残しており、そのことが、“キモかわいい”の魅力を生んでいる。また、確実に“人間ではない”のだが、どうみても魂が宿ってみえる“憎悪”に満ちた瞳にゾクゾクさせられる。
絶妙にユーモアも仕込んだ作りで、ホラーが苦手な人を誘っても無問題
あまりにもミーガンが魅力的なため、終盤のミーガン暴走スタート以降こそ、「待ってました!」と言いたくなる。大バズリした例のダンスは特に。ちなみにこの強烈なダンス部分は、ジェラルド・ジョンストン監督のアイデアによるもの。脚本のアケラ・クーパーも「ジョンストンが加えた要素はとにかく滑稽でおもしろかった。私は脚本にミーガンが躍るなんて書いてない。“殺しまくる”と書いただけよ。本編を見て、とにかく奇妙だけど最高だと思った」とコメントしている。あの違和感は、本作を象徴し、また押し上げる効果を出していて抜群だ。
ともかく本作は、ホラーが苦手な人を誘っても無問題。ユーモアも絶妙に仕込まれており、友達とポップコーン片手に楽しめる映画だ。すでに『M3GAN 2.0』も企画進行中なので、1作目からミーガンと仲良しになっておいて損はない。
<文/望月ふみ>
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『M3GAN/ミーガン』は全国公開中
https://m3gan.jp/
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