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【インタビュー】Z世代も注目! <80年代アメリカ映画あるある>をポップに表現する作家・ウラタスパンコールとは?

コラム, 暮らし

『E.T.』や『グーニーズ』など、80年代のアメリカのSF・アドベンチャー映画やポップカルチャーを愛して止まない人気クリエイター、URATA SPANCALL(ウラタスパンコール)さんの個展「Little Beans Town “STOP HERE”」が、6月4日(日)まで東京・代官山の「MONKEY GALLERY(モンキーギャラリー)」にて開催中。

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80年代のアメリカ映画のようなレトロポップなウラタスパンコールの世界

数々のドラマのロケ地としても話題を集めている「MONKEY CAFE(モンキーカフェ)」に併設されている入場無料のギャラリーということもあり、米80年代のSFやアドベンチャー映画の一場面のようなポップなウラタスパンコールさんのアート作品に惹かれて、外国人の観光客や、興味津々で見入っているZ世代の姿も少なくないといいます。

こんな独特な世界を生み出すウラタスパンコールさんとは何者なのか……? 会場内でウラタさんが開催されていたシルクスクリーンのワークショップに参加しながら、お話を伺いました。

『ダウンタウンのごっつええ感じ』のDVDBOXキャラクター&アニメーションも手掛けたクリエイター

――まずは、ウラタスパンコールさんの経歴から教えていただけますか?

1999年に京都精華大学デザイン学科を卒業後、大阪を拠点にしながらイラストレーターとして活動を開始しました。その後しばらくしてから東京に拠点を移し、かつて放送されていたバラエティ番組『ダウンタウンのごっつええ感じ』のDVDBOXキャラクターやアニメーション制作、雑誌や広告などのお仕事を中心に活動していたんですが、大阪に帰って結婚して子供が生まれてからは、すっかり子育てに追われていて、15年近くお仕事をセーブしていたんです。

でもコロナ禍にポンと時間ができたこともあり、もう一度イラストにチャレンジしてみようかなと思って、手始めにインスタグラムにいくつか作品をアップしてみたら、ありがたいことに大きな反響をいただいて。2021年に大阪で開催されたアートフェア『UNKNOWN ASIA(アンノウンアジア)』に出展したところ、なんとオーディエンス賞をいただきまして。それを機に本格的にまた絵の活動を再開して、今ちょうど2年目になりますね。

バリバリの関西人が思い描いた<Theアメリカ人>のイマジナリーフレンドたち

――どこかNetflixで話題の『ストレンジャー・シングス』を彷彿とさせるようなユーモラスなイラストが印象的ですが、ウラタスパンコールさんのインスピレーションの源は?

子供の頃から『E.T.』(82)とか『スタンド・バイ・ミー』(86)みたいな、1980年代に製作されたアメリカ映画をたくさん観て育ってきたので、私自身は帰国子女でもなくバリバリの関西人なんですが(笑)、アメリカの郊外の風景がすごくノスタルジックな情景としてずっと残っていて。私が思い描くTheアメリカ人のイマジナリーフレンドたちを、キャラクターとして描き出しているような感覚なんです。

――すべて現実にある風景をモチーフにされているんですか?

背景は写真や映画を参考にしたり、20代の頃に自分で車を運転してアメリカ撮ってきた写真なんかも組み合わせたりしながら、「Little Beans Town」という<地図にない街>に暮らす人々の日常を、キャンバス地にアクリル絵の具で描いています。

フィギュアや缶バッジ、ステッカー グッズも会場内で販売

――イラストからそのまま飛び出してきたかのようなフィギュアもとても素敵です。

「『Little Beans Town』の世界観にどっぷり浸かっていただきたい」との思いから、石こう粘土で形を作ってアクリル絵の具で色付けしたフィギュア(専用ケース付き/税込3万5,000円~)で表現したり、ステッカー(税込660円)を作ってみたり、数種類の缶バッジが入ったガチャガチャを作ってみたりもして、多角的に楽しんでいただける方法を模索しているところです。

その他にも、今年アンダーウェアブランド「3RD」さんとコラボレーションして製作したボクサーパンツ(税込4,950円)や、トートバッグ専門ブランド「ROOTOTE(ルートート)」さんとのコラボトート(税込3,850円)などのグッズも会場内でご購入いただけます。(※トートバッグは会場限定販売)

大阪・通天閣の福の神「ビリケンさん」とのコラボ作品も!

――大阪の通天閣に鎮座する<足の裏を触れば幸運が訪れる福の神>としてもお馴染みの「ビリケン」さんの姿もありますが。

「ビリケンさん」って、大阪のイメージが強いと思うんですが、実は<アメリカ生まれ・大阪育ち>のユニークな神様なんですよ。

そのビリケンさんの商標を所有する田村駒株式会社さんが、大阪のポップカルチャーアイコンにしたいという想いから始まったアートプロジェクト「BILLIKEN
CREATORS OSAKA」に私も参加しているんですが、その企画とはまた別に「Little Beans Town」にビリケンさんが引っ越ししてきたという設定で、今回の個展に合わせて公式コラボのアートワークを初披露しました。これから新たなシリーズを製作予定なので、ぜひそちらも楽しみにしていただけたらと思っています。

――カセットテープやSONYの「ウォークマン」など、レトロなモチーフが登場するのも、Z世代の注目を集めている理由なのかもしれないですね。

そうですね。『ストレンジャー・シングス』に代表されるような、80年代カルチャーに影響を受けたドラマや映画に若い方たちも慣れ親しんでいるようで。私たち世代にとっては「懐かしい」と感じるアイテムやモチーフも10代後半から20代の方々にとっては新鮮に映るみたいで、面白がってくださっていますね。

シルクスクリーンを使ったワークショップも体験

取材中、ウラタスパンコールさんのイラストで製作されたシルクスクリーンの版で、シルクスクリーンプリントも体験。

ドキドキしながら作品を擦り上げてドライヤーで乾かし、およそ15分程度で完成! ウラタスパンコールさんの作品が記念に持ち帰れる、とても楽しい企画でした。

リアルZ世代がお気に入りの一枚は……?

興味津々で絵やグッズを見ていた19歳の男子学生の方にも直撃取材したところ、「両親の影響で小さい頃からこういう映画やカルチャーに囲まれて育ってきたので、親近感があります」とのこと。なかでもお気に入りの一枚を尋ねると……?

「空の色合いとか、給水塔の感じとかに惹かれます。ショッピングカートで疾走しているのも面白いですよね」と、上記の作品を挙げてくれました。

同じくこの作品に見入っている40代の女性に声をかけてみたところ、その方はなんとウラタスパンコールさんの描く世界が目の前に広がる、アメリカのテキサス州で生まれ育ったそう。「子どもの頃にさんざん見慣れていた風景と、こんなに素敵な形で再会できるなんて思わなかったから……」と感激しながら、「実際にこうやってショッピングカートで遊んでいる友だちもいましたよ。私は怖くてやりませんでしたけど(笑)」と、ご自身の思い出話も聞かせてくれました。

ギャラリーなのでグッズ以外の作品の購入ももちろん可能です。価格帯もアート作品のなかではかなりお手頃なので、Z世代でも手が届くはず。どこか懐かしくも新しい、ウラタスパンコールさんが生み出す「Little Beans Town」の世界観に浸りに、ぜひ会場を訪れてみてはいかがでしょうか?

<取材・文・撮影/渡邊玲子>

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Little Beans Town “STOP HERE” URATA SPANCALL SOLO EXHIBITION
期間:2023年5月26日(金)~6月4日(日)※5月31日(水)は閉廊
開廊時間:10時~19時
場所:MONKEY GALLERY
所在地:東京都渋谷区猿楽町12-8
⼊場料:無料
後援:BILLIKEN CREATORS OSAKA / 田村駒株式会社
Curation by Instagram@ikedamakotoInstagram@urataspancall

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