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プロ入り直後に白血病の診断…病魔と闘うJリーガーに聞く「波乱万丈な半生」

暮らし

今も病気と向き合っている途中

──特にツラいと感じたのは、どんなときでしょう?

早川:嬉しい言葉でもあったのですが「また試合で見れるのを楽しみにしてます」という言葉がプレッシャーになることはありました。自分は目の前のことを1つ1つクリアしようとしているけど、急に先のことを言われると「まだまだなんだな」と焦ってしまって。いろんな期待を込めての言葉ですし、すごいありがたい話なんですけどね。

──たしかに、そのときの感情によってはマイナスに捉えてしまいそうですね。

早川:そうなんです。今でも“病気を乗り越えた”と言われることがありますけど、進行形で向き合っている途中ですからね。いまだにちょっと寝違えたり、痛めたりしただけで「再発したかもしれない」と思ってしまう、恐怖心は常にあります。

Jリーグを盛り上げていくには…

早川史哉氏

©ALBIREX NIIGATA

──今後の早川選手の目標を教えてください。

早川:アルビレックス新潟は昔から仲が良いチームなのですが、2022年は仲の良さがありながらも、チーム内の競争もあってメリハリがある良いチーム状態でした。一人ひとりが常に上を目指してやっていて、次に自分が出たら活躍するぞと言うメンタリティの選手が多くて。その結果、2023シーズンからJ1リーグでプレイできることになったんだと思います。ただ、僕自身は、あまり試合に絡めなくて、悔しい思いをしました。もっと貢献できる選手でいたいと思うので、自分自身のレベルアップをさせたいです。

──ワールドカップの盛り上がりもあり、サッカーに注目している人、Jリーグに興味を持つ人も増えそうです。早川選手は、どうしたら盛り上がると思いますか?

早川:そうですね。まずは、今回のワールドカップをきっかけにサッカーが気になった人には“にわか”とかを気にしないで、見てもらいたいです。そして、以前から好きな方は、許容力を持つことが大切なのかなと思います。これはサッカーに限ったことではないのですが、楽しむことや、別のコンテンツを繋げる力が関わることも大切だと僕は思うので、ぜひ皆さんなりの方法で楽しんでほしいです。

<取材・文/於ありさ 編集/ヤナカリュウイチ(@ia_tqw)>

【早川史哉】
1994年1月12日、新潟市生まれ。プロサッカー選手。アルビレックス新潟のアカデミー組織の出身。2016年シーズンにアルビレックス新潟へ加入。しかし、4月24日のJ1第8節・名古屋戦後に急性白血病と診断され、2017年から治療に専念するため選手契約を一旦凍結。2018年11月12日に契約凍結が解除されて、2年7カ月ぶりにプロサッカー選手に復帰。著書に『そして歩き出す サッカーと白血病と僕の日常』(徳間書店)

サンリオと男性アイドルとお笑いが好きなライター。さまざまなWEB媒体で、著名人へのインタビュー&執筆を担当している。生粋のオタク気質のため、何事にも深く長くハマりがち。
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そして歩き出す サッカーと白血病と僕の日常

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どのような想いで日常を過ごし、どのような壁にぶつかり、どのように受け入れ、どのように生きてきたのか。もがき、苦しみ、そして歩き出したひとりの人間の、ありのままの生きかたを綴った渾身の一冊

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