「奨学金2400万円」の医学部生も。“借りる大学生”の実態を取材した結果
面倒だけど諦めなければ…なんとかなる?
千駄木:多額の奨学金を背負っても、なんとかなっている人が多いのは、仮に病気や失業してもJASSOは意外と返済猶予が利くためでしょう。「今月ちょっと金欠だから」みたいな感じであれば1~2か月程度ですが、失業したら半年は待ってもらえます。
大学に在学している間は返済の義務がないので、なかには放送大学に入り直して、学生になったことで返済を猶予してもらった人もいます。最終的にはJASSOと裁判になりかけたようなので、いずれは逃げ切れなくなり、どこかでちゃんと稼いで返さなくてはいけませんが。
信頼できる相談先を見つけてほしい
――ブラックリスト入りや自己破産のような事態を防ぐ方法はいろいろありそうですが、そうした手続きも含めて奨学金は制度が複雑で面倒くさいイメージがあります。
千駄木:ものによっては高校の先生に推薦文を書いてもらう必要があったりして、申請手続き自体も大変ですし、基本は紙で申請する世界なので時間もかかります。そうやって「借りるための敷居を上げているんじゃないか?」という声も聞きますね。
1年ほど連載していても知らない話が毎回山のようにあって。高校生や学生向けに奨学金制度について解説するYouTubeチャンネル「サツダイ奨学金担当」の方も「毎回難しいルールブックを読んでいるみたい」だと言っていました。
――受験で手一杯の高校生が自力で調べるのは大変ですね……。
千駄木:取材していると周りの人が助言してくれたみたいなパターンが多くて、それも運だなと思うことが多いんですが、学生は大学の学生課など含めて信頼できる相談先を見つけてほしいです。給付型奨学金についてはWEBサイト「ガクシー」が情報を全部まとめていますね。