36歳で市議になった元東大院生が語る「氷河期世代こそ議員を目指せ」の真意
20~30代に新しい風を入れてほしい
市議会議員への当選で文字通り「人生一発逆転」を果たしたわけだ。生活も大きく変わり、編集部での取材当日には「久びさに満員電車に乗りました」と微笑んだ。
現在、活動の中心は自身の選挙区・和光市だ。議会で議案を審査したり、さまざまな問題を提起したりしている。それ以外の時間は支援者の輪を広げるため和光市内を駆け回る日々を送る。とはいったものの、充実した活動の裏では、議会の現状への危機感を常に抱いている。
「今の和光市議会では40歳の私が最年少で、20代と30代はゼロです。年齢構成はほとんどが60歳前後ですが、そうした方々は自分が落選する可能性もあるので、若い人に出馬してほしくないんですよ。実際、『次の選挙は立候補者が少なければいいよね』と話している議員もいるほどですから。いわば、保身ですよね。20~30代の方々にも積極的に立候補していただき、議会に新しい風を入れないと市民のためにならないと強く思っています」
いまだに無所属で活動し続ける理由
政治の世界は、政党や会派といったしがらみの強い印象もある。けれども、何のツテもなく無所属での当選を果たした経験は、議会での活動に活かされた。
「表向きには無所属の議員でも、実態は自民党などの政党の党籍を持っていたり、議会の中で会派を組んでいたりします。私のように会派にすら入っていない“完全な無所属”はめずらしい。政党や会派はいわゆる『同じ考えを持つ人の集まり』と表現できますが、私は無所属なので自由な活動ができます。
支援者の輪を自由に広げられるのがメリットで、個人宅やお店、会社へ飛び込み、自分の政策を伝えることができるのは、制限やしがらみのない無所属だからこそのメリット。その反面、先輩議員の支援がないので、議会で審議される議案などについて1人で勉強するのは大変ですが、そのぶん成長も実感できます。当選した当初は、若さもあり『うちに来ないか?』と誘われたこともありましたが、迷った末に、個人での活動を選択したのは正解だったと思っています」