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基本給11.5万円、昇給ナシ…児童館の館長が訴える、公共機関の「残酷な真実」

ビジネス

「こども家庭庁」に期待したい

児童館

 当初はいろいろな期待があった指定管理者制度だった。しかし、みかんさんは「現状は公共機関に従事する人を、安く雇って使い倒すために利用されているように感じてしまいます」と続ける。

「その結果、人材が育たず、育っても定着せず、満足いくサービスを提供するどころか、最低限の運営を行うことさえままならなくなりました。政府が児童館にお金をかけていないことが問題であり、とにかく予算を児童館にかけてほしいです。

 予算がかけられていないために、指定管理者制度が人件費の削減という、本来の趣旨とは反した利用のされ方になっています。現在、児童館は厚生労働省の管轄ですが、2023年4月からは『こども家庭庁』に所管されます。

 こども家庭庁が設置されることに伴い、子供が安心して過ごせる学校や家庭とは違う居場所、サードプレイスとして児童館が注目されています。これまでよりも多くの財源の確保を期待したいです

反響をポジティブに活用したい

 最後に今後も発信を続けていくのか尋ねてみた。

「今回バズったことに正直とても驚いており、一方で怖さも感じています。ただ、今回の反響をポジティブに活用して児童館の必要性、魅力を発信していきたいです

 児童館をはじめ福祉施設、教育機関ではやりがい搾取が横行しており、働く人の我慢の上に成り立っているケースは珍しくない。実際、この取材後の12月4日には静岡県裾野市のさくら保育園の元保育士3人が、園児らへの虐待・暴行行為の疑いで逮捕され、大きな注目を集めている。

 報道によれば、保育士の一人は「コロナの影響で業務が増え、冷静な判断ができなかった」と弁護士に語っているという。もちろん虐待は言語道断だが、従事している業務内容に適した待遇、安心が得られるような社会を築くためにも、まずは我々の認識を改めるところから始めたい。

<取材・文/望月悠木>

フリーライター。主に政治経済、社会問題に関する記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている
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