「よいものは売れる」は嘘。大多数の人が勘違いしている、“伝える努力”の大変さ
トマト嫌いだった祖母が心変わりしたきっかけ
私の母方の祖母は、還暦を過ぎるまで、ずっとトマトを食べませんでした。トマトを食べたことがないので、単なる食わず嫌いだったのです。ある時、自分の姉に、「これはうまいから、騙されたと思って一度食べてみて」と言われて、恐る恐るトマトを食べてみたら、「おいしい!」と大絶賛。その後、93歳で死ぬまで、トマトを食べ続けるようになりました。
もし、世界がうちの祖母のような人ばかりであれば、トマトは食料としてここまで世界的に普及することはなかったでしょう。日本人にとって欠かせないお米にしても、「米を食べよう」と宣伝しない限り、パンや麺類ばかり食べるようになるかもしれません。
また、多数あるブランド米にしても、コシヒカリくらいの知名度がある品種を除き、あきたこまちなどのお米は宣伝してなかったら存在すら知られなかったのではないでしょうか。このように食料のような必需品であっても営業しなくても売れるわけではありません。それなりに宣伝が必要です。
物を売るため最低限必要なことは
にもかかわらず、世の中の人は宣伝を軽んじて、バカにする風潮があります。「よいことをやり続けていれば、みんなが理解してくれる。宣伝なんかしなくてもよいものは売れるんだ」と思っているのです。でも、最低限、「そこにこういう商品が存在する」ということぐらいは伝わらないと、物は売れませんよね?
1点モノのアートのように限定生産の超高単価な商品ならばたくさん売れる必要はないかもしれませんが、世間一般に流通するサービスであれば、できるだけたくさんの人に買ってもらったほうがいいに決まっています。だからこそ、何かを作るだけでなく、それ以上に宣伝に力を入れるべきなのです。