“値下げ戦略”が大コケ。無印良品「商品力強化」に立ち返るのは必然か
無印良品を運営する「良品計画」の業績が冴えません。2022年8月期の売上高に当たる売上収益は前期比9.4%増の4961億円となったものの、営業利益は同22.8%減の327億円。減収での着地となりました。良品計画は2022年8月期の期首に営業利益を450億円と予想していました。予想を3割近く下回りました。
不振の1番の要因は国内事業。2022年8月期国内事業のセグメント利益は前期比46.5%減の152億円。良品計画は国内において値下げを軸として集客力の強化を計画してきましたが、集客効果がなくなりました。それに加えて輸送費の上昇が利益を圧迫しています。値下げ時代の終焉、無印良品はそれを象徴しているように見えます。
無印良品の利益率は半減した
良品計画の2023年8月期国内事業の売上収益は前期比14.6%増の3530億円、セグメント利益は10.0%増の168億円を計画しています。増収増益を見込んでいますが、セグメント利益率は4.8%で前年を0.2ポイント下回る見込みです。
国内事業は2018年2月期にセグメント利益率12.2%という、小売店としては高い収益性を誇っていました。現在はその半分ほどしかありません。利益率の推移を見ると、緊急事態宣言で世間が混乱していた2020年8月期に利益率が3.2%まで一時的に低下。2021年8月期に9.6%まで回復するものの、その後落ち込んでいるのがわかります。
なお、良品計画は決算期を2月から8月に移行しています。そのため、2020年8月期は3-8月までの6か月間の業績です。
値下げ効果は抜群!経営戦略に盛り込む
良品計画は2016年の下期から、肌着や靴下など手ごろな価格アイテムを中心に値下げを行いました。当時の値下げ効果は目覚ましく、客足を伸ばすことができました。2017年2月期の客数伸率は一時的に120%を超えています。
値下げ分を客数で補い、その結果として収益性を高められるというデータが得られました。十分な成果が得られたことから、一連の値下げを「価格見直し」と銘打って経営戦略に盛り込みます。