報酬は1軒30万円も。メタバースで建築する「アンビルド建築家」という職業
メタバース元年といわれる2022年。さっそくメタバースで生活を一変させた人たちがいるという。ただの楽しみに留まらず、生活の糧を得る仕事人が生まれてきているそうだ。新しい世界で一攫千金も夢じゃない!? 今回は実現できない建物をメタバースで建築する「アンビルド建築家」という職業に迫っていく。
現実では不可能な建築物を建てる「アンビルド建築家」
現実世界の建築には、建築基準法などの法律の知識や積算・構造計算といった複雑な作業が必要となる。だが、メタバース空間での建築は、法律も専門的な計算もいらない。「現実世界では建てられない建築」という意味から「アンビルド建築」と呼ばれている。吉田悠哉氏は実建築の設計を本業としながらアンビルド建築もこなす二刀流建築家だ。
「アンビルド建築の仕事はクライアントの要望を建築空間の形に落とし込むこと。ラフを描き、建築モデルを作成する。技術的には実建築より簡単で、3Dモデリングのソフトが使えれば制作できます」
吉田氏はメタバースプロデューサーの北村勝利氏のオファーを受け、招待制メタバース「宝島」内に、宝島講堂やグランドキャバレー宝島など5つのワールドを制作した。
作品発表の場としての魅力も
「メタバースの“建築物”はサーバーに容量制限があり、報酬は容量によって変わってきて一軒あたり15万~30万円。サーバーの負荷やパソコンの処理能力などを考慮しながら制作する難しさもありますが、現実には不可能なコンセプトや造形の建築を考えることができる面白さがあります」
メタバースにはデザインの自由度のほか、作品発表の場としての魅力もあるという。
「リアルな建築設計はキャリアと実績が重視されますが、メタバースの世界なら、そういった縛りもない。若手建築家にとってはチャンスです!」
<取材・文/週刊SPA!編集部>
【吉田悠哉】
アンビルド建築家。実建築設計を専門とする20代の建築家。メタバース空間の会社を経営する友人の誘いで、1年ほど前からアンビルド建築を始めた。設計一案件15万~30万円。