「社内人脈しかない人」をバカしてはいけない。扱い方次第では“貴重な存在”に
「社内だけで通用するスキル」は存在しない?
そもそもですが、ぼくは「社内だけで通用するスキル」というものの存在自体を怪しんでいます。ポータブルスキルの対極に位置するとされている「社内専門スキル」ですが、それって本当に社内だけでしか通用しないのでしょうか?
① 自社製品に関して隅から隅まで理解できている
② 社内でしっかり情報網を張ることで、適切な人材と協力してお客さんに良い提案ができる
③ 現場営業一筋で業界理解やコネクションがハンパない
個人的には、上記のような“社内専門スキル”を有している方、めっちゃすごいと思いますし、そもそも「その会社でしか通用しないスキル」のはずがないと思います。
1番目の方のように、複雑な製品の仕様や背景、具体的な使用シーンや経済的効果も含めてしっかり理解し、お客さんとお話できる人に、深く考える力や業界知識、お客さんのニーズをつかんでそれを解決する提案力、そういうものがないはずないんですよね。もちろん、違う製品を担当することになったら、キャッチアップのために時間は必要かもしれませんが、同じようなパフォーマンスを出せることはほぼ間違いないでしょう。
人材市場全体から評価される必要はある?
2番目の方は、得てして「人脈しかない人」とバカにされてしまうこともあるかもしれません。ただ、どんな仕事だろうが、「人間関係をきちんと構築できる人」の存在は貴重です。専門的スキルに乏しくとも、上も下も横も内も外もしっかり巻き込み、プロジェクトをいい感じに進めていける人材はめちゃくちゃ貴重です。
「自分は潤滑油のような存在です」というフレーズは、ぼくが新卒で就職活動をしていたときによく聞きすぎてネタになっていることもありましたが、でも、「潤滑油」、大事ですよね。
確かに今の時代、終身雇用も年功序列もほぼ崩壊したと言ってよく、「ひとつの会社にしがみつく」というのはあまり賢い選択肢ではなくなりました。それを受けて、「今の会社だけでなく、人材市場全体から評価される力をつける必要がある」というのも正しいと思います。
ただ、だからといって「ロジカルシンキング!」「英語!」「プログラミング!」「会計!!」と焦りすぎる必要はないのです。今まで仕事の中で、数多の失敗や成功を通じて磨き上げてきたあなただけの経験やワザ、それはMBAでもコンサルティングファームでも学べない、最高の「ポータブルスキル」なのですから。