傷つかなくなったが失ったものも…「心の痛みを感じにくくする」治療を受けた結果
「強い心」がほしい主人公が心の痛みを感じにくくする治療を受けるも、なにか大事なものを失った気がしてしまう……。これは漫画家でイラストレーターのミヤギトオルさん(@mitume333)の作品のストーリーだ。
作家の星新一や筒井康隆らの代名詞として知られる、ショートショート作品。短い物語のなかで、思わず心がハッとする気付きや、意表を突かれるオチで驚愕させられるこのジャンルを、ミヤギさんは4コマ漫画という手法で作品にしている。
大学生の頃から映像クリエイターとして活動をはじめたミヤギさんは、数々の挫折を重ねながら、30歳を目前に今の仕事に辿り着いたという。一体どのような人生を歩み、現在のスタイルを手に入れたのか。前編ではこれまでの経緯を振り返ってもらった。また、インタビューと共に、SNSで大きな反響を呼んだ作品の数々も紹介する。ぜひ最後まで目を通していただきたい。
自身のアニメが学生向けの映画祭で入賞
──活動の経歴としては、アニメーション作家がはじまりなのですね。
ミヤギトオルさん(以下、ミヤギ):大学で映像を学んでいて最初は映画制作に興味を持っていたのですが、集団でモノづくりをするのは、なかなかむずかしいと気付きまして。お金もかかりますしね。でも個人のアニメーション制作であれば、パソコン1台とソフトさえあれば、1人で黙々と創作ができるので、そっちの方向へかじを切りました。
──アニメーションには、もともと関心はあったのですか?
ミヤギ:大学で海外のアートアニメーションなどを目にして、徐々に興味が出てきました。絵は昔から描いていたので、独学でアニメーションを制作し始めました。在学中に作った作品が学生向けの映画祭で賞をいただいたりしたので、大学の時はずっとアニメーション制作をしていました。
いきなりフリーで活動するのは無理だった
──学生クリエイターとして評価されていたのですね。
ミヤギ:評価されていたと言うほどではないのですが、作った作品をきっかけに、お声がけいただいて、映像の仕事をいただくこともありました。
──どんなお仕事だったのですか?
ミヤギ:お笑い芸人の方が出演されるライブのオープニング映像であったり、舞台の劇中で使用されるアニメーションを制作したり、色々とやっていました。
──そのお話を聞くと、そのまま映像クリエイターとして活動されると思うのですが、そこから方向転換をされるワケですね?
ミヤギ:そうなんですよ。実務経験が足りないので、いきなりフリーの映像作家としてやっていくのは無理でした。時々来る映像やイラストの仕事の他は、バイトをしたりして、生活していました。