「人生の99%はうまくいかない」元幹部自衛官が明かす、それでも立ち上がる意味
優秀な人でもいつかは打ちのめされる
私は自衛隊を経験しましたが、特にメンタルが強くなったわけでもなく、優秀な隊員として表彰されたわけでもありません。転職後も、特に成功もしていない一般人です。
ただ、そうした経験を通して「心は鍛えてもあまり強くならない」ということや「人生は肩書きや安定ではない」ということに気がつくことができました。言ってしまえば、落ちこぼれが頑張るだけ頑張って、ドロップアウトしたのが私の物語ですが、その物語から私は「希望が見えない環境でも心を壊さない方法」を多く学ぶことができ、少なくとも人生の糧になっています。
特に私が自分の経験から、読者の皆さんにお伝えしたいことは、「人生は失敗だらけ。敗北ばかりする」ということです。失敗したり、敗北するのは「あなたがダメだから」ではありません。人生はそういうふうにプログラミングされているのです。
たとえば、あなたが天才的に優秀で、東京大学法学部を主席で卒業し、弁護士になったとしましょう。でも、ハーバード大学卒の弁護士に「こんなこともわからないなんて、日本のことしか知らない井の中の蛙だね」と言われることもあると思います。優秀な人であれば、優秀な人が集う世界で打ちのめされるようになっているのです。
砂を掴んで立ち上がる姿は、何よりも尊い
さらに言うと、あなたが世界で一番賢く、どこかの王様になったとしても、クーデターで処刑される可能性や、弟に裏切られて追放される可能性だって十分にあります。権力や地位、身分に関係なく、人生はつまずくようにできているのです。あなたの才能や能力に関係なく、人生は嫌なことばっかりです。嬉しいことよりも、悲しいことのほうが圧倒的に多いでしょう。
でも打ちのめされた後に復活し、成長をしていくことに人生の煌めきはあると私は考えています。どんなに打ちのめされても、砂を掴んで立ち上がれることにこそ、人生の美しさがあります。
どんなに失敗しても、誰かに敗北しても、身体が無事なら立ち上がることができますし、立ち上がることができれば、あなたは人生に勝利することができます。もし身体を壊したら、焦らずにゆっくり休養して、そこから立ち上がればストーリーとしては美しくなります。
創作された物語を見ても、最初から最後まで主人公がうまくいき、幸せになる物語なんて誰も見ませんし、退屈そのものだと思います。それと同様で、人生は波があるからこそ、ドラマチックで面白いのです。この前提がないと、「絶対に失敗してはいけない」「恥をかいてはいけない」という脅迫観念が生まれます。