業務スーパー創業者が100億円かけて“2度目の起業”。その責任者を直撃
なぜ地熱発電にこだわるのか?
地熱発電は、太陽光発電や風力発電と同様「第三エネルギー」と呼ばれている。しかし、同社がなぜ地熱発電に注力するのか、ピンとこない人も多いのではないだろうか。
「第三エネルギーとは、漠然とですが石油や石炭などの化石燃料を使わない発電とされています。再生可能エネルギーというくくりでは地熱も、太陽光や風力、水力と同じです。ただ、24時間安定して発電できる『ベースロード電源』と呼ばれるエネルギーは地熱しかありません。
太陽光は昼間の晴れの日、風力は風のあるときしか発電しないので不安定です。けれど地熱は24時間365日、昼夜を問わず発電できて安定しています。しかも私たちがやろうとしているのは純国産。地熱の資源量は1位のアメリカ、2位のインドネシアに次いで、日本は第3位です」
第4位はフィリピンだが、日本とは約4倍近く資源量の差がある。そのため資源量では有望とされている日本だが、発電量は世界で10位。「ポテンシャルは3位なのに発電量は10位と遅れているのは、それだけ地熱開発が難しいからだ」と岡本氏は言う。
9/10の確率で5億をドブに捨てる
地熱開発の難しいポイントのひとつが、調査用の井戸を掘削する作業だ。いくら見当をつけて掘っても地熱が出ないこともある。場所や規模により掘削費用は大きく違うが、1か所あたり平均で5億円。地熱が出なければ、ドブに捨てることになるのだ。
「地下資源のある蒸気の層に当たるのは、全国レベルで見ても10分の1。5億円かけて10個のうち1個しか出ないクジを引いているようなもの、なかなかハイリスクです。ただ、私たちが地熱開発事業を進めている熊本県阿蘇郡小国町のように発電所ができて5000kWの発電ができれば、国の買取制度FIT(フィット、※現在はFIPにより1kWhを40円)で15年間は買取してもらえます。単純に24時間365日を掛けて、5000kWなので5000倍すれば、15年間で約200億円以上の売上が獲得可能です」