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天才歌手を世界一に。レコード会社のリアルを気鋭の原作者が描く<漫画>

ビジネス

物語先行の作家から原作の道へ

アンサングヒーロー

型破りな天才歌手をどうやって売り出していくのか

──最初に漫画原作を担当されたのが、レコード会社を舞台に、型破りな天才歌手が登場する作品『アンサングヒーロー』ですよね。原作だけを担当することに抵抗はなったのですか?

うらたに:それはなかったです。というのも、絵が好きで漫画家になったワケではないので。絵に興味がないという意味ではなくて、どうしても物語のほうに意識が強くなるので、絵よりもストーリー先行で創作することが多いですね。

──その意識は、デビューされる以前からですか?

うらたに:全体のストーリーというよりも、シチュエーションであったり、キャラクターであったり、ひとつの物事を先に決めたあとに、物語を組み上げるイメージです。

──物語に意識が向くのは、何かきっかけがあったのですか?

うらたに:はっきりとしたきっかけはわかりませんが、わりと早い段階でその意識を持っていました。専門学校時代は奇をてらったストーリーではなく王道の流れの中で、どう面白くしようっていう意識で漫画を描いていましたから。だから、デビューした頃、編集者の方に読んでもらうと、「シンプルで読みやすいストーリーになっている」と、絵よりも物語のほうを評価してくださることも多かったですね。

原作担当は「視点が広がる」

──ということは、ご自身にとっても物語を考えることは、面白味を感じられる仕事だったのですね。では、原作だけを担当するようになり、物語を生み出す上で何か変化はありましたか?

うらたに:それは大いにあります。ひとつは、視点が広がったことです。例えば、『アンサングヒーロー』で作画を担当する鯛噛さんには、ネームといっしょに物語をお渡しするのですが、実際に仕上がった絵を見ると「こんな構図で、意図を表現できるんだ」とか「この人物は、こんなポジションだったんだ」と気付かされることがあって。すると、僕の想定を越えた物語や展開が生まれたりしますね。

──鯛噛さんが仕上げた絵によって、新たな視点が加わり物語に変化が出るのですね。

うらたに:良い刺激というか、1人で悶々と描いている時にはない面白さを感じながら物語を描けるようになりました。

<取材・文/橋本未来 編集/ヤナカリュウイチ(@ia_tqw)>

【うらたにみずき】
1997年生まれ。専門学校在学中に受賞した第34回イブニング新人賞の奨励賞・編集部特別賞や第81回ちばてつや賞のヤング部門優秀新人賞など、数々の漫画賞を受賞。漫画原作として『アンサングヒーロー』や『カスミ荘の漫画家志望達』(共に、講談社コミックDAYS・ヤンマガWebで連載)などを担当している

アンサングヒーロー(1)

アンサングヒーロー(1)

舞台はレコード会社「ガイアミュージック」。アーティストの発掘を担う制作部の新人・後免一朗はやる気が空回りし、毎日怒られてばかりの日々。しかしある日、ホームレスの前で路上ライブをする少女・柊木ジャムと出会う。彼女は紛れもなく天才だった。この才能を何としても世に出したい! けど、彼女はあまりにも破天荒な性格の持ち主で!? 熱血スカウトと超問題児アーティストの、型破りな挑戦が始まる!!

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