天才歌手を世界一に。レコード会社のリアルを気鋭の原作者が描く<漫画>
専門学校で初めて描いた作品が…
──専門学校に入学されてから、どのあたりで本気で目指そうという思いになったのですか?
うらたに:かなり最初の頃かもしれないです。というのも、課題で初めて描いた作品に『捨てロボ』というのがあるんですけども、先生のウケがよかったんです。
──ちなみに、どういうお話だったのですか?
うらたに:生徒に関心がない先生が主人公で、拾ったAIのロボットが、どんどん人間ぽくなっていく中で、ちょっとずつ人間との関係性を取り戻していくっていう。
──ものすごく大人っぽい作品ですね。それが評価されたことで、漫画家という道を真剣に考えるようになったと。
うらたに:在学中に箸にも棒にもかからなければスッパリとやめようという思いで入学しましたから。漫画家をめざすための強いモチベーションになったのは確かです。
編集者と出会い、ひたすら漫画を描く日々
──そこから、より真剣に漫画を描くようになったのですか?
うらたに:そうですね。ひたすら毎日のように漫画を描いていました。
──専門学校で評価を受けたとはいえ、プロとしてデビューをしたり、漫画家として成功したりする保証がない中で、よくモチベーションを保てましたね?
うらたに:それは専門学校時代に、今もいっしょに作品づくりをしている編集者の方と出会ったことが大きいですね。「若いのに、人間をよく描けている」と評価してくださって、その方に漫画のネームをお送りするようになったんです。
──それは幸運な出会いですね。その編集者の方と出会って、何か変化はありましたか?
うらたに:さっきのお話で言うと、モチベーションは高くなりますよね。その方はとにかく返信が早いので、ぼくも次々とネームを描いては送ろうって。その繰り返しの中で、作品を形にしていく感じでした。
──その頃は漫画1本で、生活を?
うらたに:いえいえ。親に相談をして、漫画創作が本業で、たまに家業を手伝いながら生活をしていました。でも、そのときは漫画家として面白い作品を描くことを目標にしていたので、不思議と焦りや不安っていうのはなかったですよ。
──そこから、どれくらい期間を経て、プロデビューをされたのですか?
うらたに:うーん……。1〜2年ぐらいだったと思います。『捨てロボ』がイブニング新人賞を受賞したのが、20歳のときだったので……。