議席獲得、「参政党」熱狂の正体。反ワクチン、反小麦、スピ系が集結
かつてない高揚感を味わう人が続出したようだ。2年前に設立されたばかりの政治団体・参政党がこのほど、2022年7月の参院選で議席を獲得。政党要件も満たした。SNSや動画を駆使した戦略が実を結んだことは、多くのメディアでも取り上げられている。
ただ、それで「支持を集めた」とは、かなり表現が甘いと感じる。実際には、参政党は特定のいくつかの層を「熱狂」させ、「囲い込んだ」のだ。その支持者層や主張の内容などを分析していきたい。
参政党が「囲い込んだ」人々とは
まず支持者の中で最も目立ったのは、「反ワクチン派」だ。共同代表の松田学氏、吉野敏明氏は、党での活動を始める以前からこうした層の後ろ盾になる言説をネット上で流していた。ワクチンを「お注射」と表現している。これは、YouTubeで配信された際に、誤った健康情報との判定でBANされないための工夫だ。
このコロナ禍では、「ワクチンの危険性」などの不確かな情報も蔓延した。感染予防策を「強要されている」「同調圧力だ」と感じ、やり場のない感情を抱えた人も多かった。それらが徐々に集まり、参政党の弁士も「こんなに国民が不安に思っている」のように煽り続けた。
演説会場や、ネット上のコメントの様子は「反ワクチン・ノーマスク」活動の様相を呈していた。
自然派系の主張がSNSで大炎上
次に参政党が熱くしたのは、オーガニック食などを推進する自然派の方々だ。党の創設者であり比例区で当選した神谷宗幣氏は常々、食の大事さを説く。その主張は極端な印象もあり、「男女共同参画に使う予算で学校給食を全部オーガニックにできる」などと語っている。少子化問題も、「食事を改善すれば子どもも増えるのに、それをやらせないようにしているとしか思えない」そうだ。
自然派系の主張で特筆すべきは「小麦」の件だろう。共同代表の吉野氏が、「小麦粉は戦前にはなかった」などと述べ、発がん性などを語って忌避を煽った。神谷氏も同調し、「小麦なんか食べるのを止めよう」「粉もん文化は戦後77年でできたものしかない。アメリカで作られた食文化を守る必要はない」と力説していた。
一時的には同じ志向の方々に支持されたようだが、これがネット上で拡散されて大炎上。党としての情報リテラシーには疑問符が付くことになり、農薬に対しての見識なども、農業ジャーナリストらから厳しい指摘が入っている。