売上高「10分の1」の衝撃。インバウンド依存度が高い3社の業績に見る”活路”
ラオックス:中国人観光客の激減で…
ラオックスはかつて首都圏全体に100店舗ほど展開していた家電量販店でしたが、2009年には中国の家電小売大手「蘇寧電器」の傘下に入り、それ以降は中国人観光客向けの免税店にシフトしました。
2022/12期の事業セグメントは、(1)リテール事業(小売店)、(2)海外事業(中国向け事業)、(3)アセット・サービス事業(店舗開発)です。海外事業は中国向けの貿易ビジネスや越境EC手配を手掛ける事業であり、同社はBtoBの事業も行っています。2018/12期から21/12期にかけて業績が悪化しており、やはり中国人観光客の激減が影響しているようです。
【ラオックス(2018/12~2021/12期)】
売上高:1180億円→1295億円→830億円→681億円
営業利益:▲9.4億円→▲31.0億円→▲33.6億円→▲28.5億円
最終利益:▲10.8億円→▲78.7億円→▲166.4億円→▲71.1億円
筆頭株主がシンガポールのファンドに
2019/12期は中国人による爆買いの対象が家電から化粧品・日用品にシフトしたこともあり、客単価は減少したものの、越境EC事業が好調で増収となりました。ただし、当時展開していたファッション関連事業や飲食店開発事業での失敗や先行投資がかさみ、赤字幅は増えています。
そして翌2020/12期はコロナの影響で中国人観光客が激減、リテール事業が悪化し、全体では36%の減収となりました。巣ごもりの影響で中国でも通販が人気となり越境ECは好調だったようですが、メインの小売事業を補うには至りませんでした。
2021/12期はリテール事業の低調が続いたほか、前年好調だった越境ECは競争激化で減収となってしまいました。ちなみにコロナ禍では店舗数を縮小させており、インバウンドを狙って一時期は40店舗の免税店を抱えていましたが、2022年6月現在ではすでに6店舗しかありません。そのうえ旗艦店ともいえる秋葉原本店は現在休業中のようです。
ちなみに2021年には筆頭株主が中国の蘇寧電器からシンガポールのファンドに代わっています。業績悪化で迅速に撤退判断をできるのはいかにも中国企業といったところです。さて、新しい株主は今後、どのような戦略をとるのでしょうか。