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「食べログ」、絶対王者の地位が揺らぐか。“異例の判決”とステマ問題

ビジネス

アルゴリズムの不透明さに批判が

 食べログは契約していない店舗に対しても、点数や口コミ投稿ができるようになっています。契約していない店舗からすると、勝手に掲載されて評価されるのです。しかも、契約していないにも関わらず、食べログの評価点が知らないうちに下がれば集客にも影響します。これが一部の飲食店から猛烈な食べログ嫌いを引き起こす原因です。

 また、広告費は1万円から10万円まで用意されています。プランに応じて露出度などが異なる仕組みです。高いプランを契約していた店舗が安いプランに切り替えたところ、点数が下がったという話がまことしやかに語られるようになりました。

 契約しているしていないに関係なく、集客に影響を及ぼすこの点数のアルゴリズムの不透明さが批判の中心にあります

独占禁止法の優越的地位の濫用とは?

裁判 判決

※画像はイメージです(以下同じ)

 公正取引委員会は2020年3月に「飲食店ポータルサイトに関する取引実態調査について」を公表しています。その中で店舗を評価するメディアの実態を調査し、独占禁止法上の考え方として以下のように示しています。

<飲食店に対して優越的地位にある飲食店ポータルサイトが,正当な理由なく、通常のルール(アルゴリズム)の設定・運用を超え、特定の飲食店にのみ適用されるようなルール(アルゴリズム)を恣意的に設定・運用等し、当該飲食店の店舗の評価(評点)を落とすことにより、当該飲食店に対し、例えば、自らに都合のよい料金プランに変更させるなど、正常な商慣習に照らして不当に不利益を与える場合、当該行為は独占禁止法上問題(優越的地位の濫用)となるおそれがある。>(「飲食店ポータルサイトに関する取引実態調査報告書」より抜粋)

 仮にポータルサイトを食べログに置き換えて要約すると、飲食店に対して優越的な立場にある食べログが、点数を操作することによって食べログにとって都合の良いプランに契約させることがあれば、独占禁止法上の優越的地位の濫用となるおそれがあるとしています。

 訴訟を起こした「韓流村」の訴状によると、食べログが2019年5月にチェーン店の評価を下方修正するアルゴリズム変更を実施したのは、地位が優越していることを利用して不当に取引の条件の変更等をする「優越的地位の濫用」に該当する違法な行為だとしています。これに対し、東京地裁はアルゴリズムを一方的に変更することは優越的地位の濫用だと指摘しました。

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