オンキヨー破産は必然だった?原因は投資ファンドの“ハシゴ外し”か
オンキヨーホームエンターテイメントが2022年5月13日に大阪地方裁判所から破産手続き開始決定を受けました。負債総額は31億円。6月10日現在、公式ホームページにはアクセスしずらい状態が続いています。
オンキヨーの主力事業だった音響機器などのAV事業は2021年に米国企業・VOXXとシャープの合弁会社に譲渡されており、ONKYOブランドの製品は継続される見込みです。本業を譲渡したオンキヨーは骨抜き状態であり、事業再生ではなく清算という形をとりました。オンキヨーの倒産は、事業活動と資金調達の難しさを如実に物語っています。
次第に業績が悪化していき…
オンキョーの創業は1946年。1970年代後半から1980年代にかけてミニコンポブームが到来すると、得意としていた高品質モデルをダウンサイジングしたハイコンポで他社との差別化を図りました。1993年に市場投入されたINTECシリーズはコンパクトかつ高音質という評価を得てヒットモデルとなります。
オーディオビジュアル産業が斜陽化することに危機感を覚え、2007年7月に安価なパソコンを販売することで知られていたソーテックを買収。しかし、高い相乗効果が生まれることもなく、次第に業績は悪化します。
パイオニアのAV事業買収が転換点に
オンキヨーが最大の転機を迎えたのが、2015年3月のパイオニアのAV事業の譲受。16億5000万円でパイオニアホームエレクトロニクスを完全子会社化しました。
事業譲受前のオンキヨーのAV事業は、売上減少、もしくは横ばい状態が続いていました。それがパイオニアホームエレクトロニクスの買収へと繋がります。
買収直後の2016年3月期AV事業の売上高は前期比79.5%増となる466億7000万円まで膨らみました。しかし、事業利益はわずか1億8300万円。利益率は0.4%です。買収前のオンキヨーAV事業の過去4年の平均利益率は8.0%。売上高が急上昇した半面、利益率が急悪化したのです。