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ミールキットが急成長の「オイシックス」に聞く、累計1億食突破の背景

ビジネス

急激な需要増加や資材高騰化に

オイシックス

 現在、Oisixの会員数は34万人を超え、順調に成長を歩んでいる状況だが、今年1月には物流拠点「海老名ステーション」で出荷の遅延や大量の欠品が発生する問題が発生した。宅配ニーズの急激な高まりをうけ、新しい物流センターの移管を早急に進めたことによるトラブルの要因とされているが、消費者ニーズ拡大に耐えうる生産体制については、現在どのように構築しているのか。

「青果の場合、ストックすることができないので、契約農家の生産者さんと事前に納品する量を決めています。ただ、どうしても天候によって、農作物の不作や出荷の遅れなどが生じる可能性も否めません。これからの季節だと、梅雨や台風などの影響が予想されますが、Oisixでは商品づくりに関わる食材のバイヤーからレシピを作る担当者、生産拠点の工場などは全て内製化しています。問題を迅速に解決していけるような社内体制を作ることで、突発的な課題に対し、食材の差し替えや代替案を提案できるようにしています」

 他方、昨今の円安や資材の高騰化によって、市場価格の値上げを余儀なくされるメーカーも多くなってきている。Oisixに関しては、どのような影響が出ているのか。

「野菜に関しては生産者との直接契約なので、市場の影響は受けませんが、一部輸入しているものや資材の高騰化で値上げしている商品もあります。今後は製造部門と連携しながら、資材を減らす取り組みを強化していきたいと考えています」

フードロスやサステナブルを意識した展開

オイシックス

廃棄食材をアップサイクルさせる流れ

 直近ではフードロスに着目した「Upcycle by Oisix」を展開したりと、SDGsを意識した活動を実施している。元来、会員からの毎月の注文数から需要予測を立てられるビジネスモデルゆえ、フードロスの問題は最小限に抑えられるわけだが、「お客様の料理体験を通じ、サステナブルを知ってもらえるような商品を提供している」と神田氏が説明する。

「フードロスや地球環境に配慮したサステナブルなアクションが重要なのはわかるけれど、『実際何をすればいいかわからない』と感じている方は多くいらっしゃいます。Upcycle by Oisixはこれまで見栄えや食感の悪さなどから廃棄していた食材をアップサイクルし、新たに付加価値をつけて商品化したものです。

 例えば、気仙沼で水揚げされたサメのフカ(サメの肉の部分)を利用し、竜田揚げの商品へと生まれ変わらせて販売しています。フードロス解決型のブランドとして、Upcycle by Oisixのマーケット拡大を図っていく予定です」

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