ミールキットが急成長の「オイシックス」に聞く、累計1億食突破の背景
コロナ禍による巣ごもり需要の拡大や、内食ニーズの高まりによってミールキット(食材とレシピがセットになった商品)が注目されている。手間のかかる行程が省かれており、下処理済みのものをフライパンや鍋で調整するだけで料理を作れるのが人気の理由と言えるだろう。そんななか、国内のミールキット市場を切り拓いてきたのがオイシックスの「Kit Oisix(キットオイシックス)」だ。
同ブランドを展開するオイシックス・ラ・大地株式会社 OisixEC事業本部 サブスクリプション進化室 副室長の神田聡美氏に、Kit Oisixがヒット商品にまで成長した背景や、商品開発で意識していることを聞いた。
「Kit Oisix」が生まれた背景
神田氏は新卒で2015年にオイシックスへ入社し、Kit Oisixの成長を担ってきた。当時は「ミールキット」という言葉を日本でどのように浸透させていくか、というタイミングだったという。
「オイシックスが2000年に創業して以来、有機や特別栽培農産物などを宅配するサービスを展開し、事業を成長させてきました。しかしライフスタイルが変わり、また共働き世代が増えたことで『時間がないから料理ができない』『どう調理すればいいかわからない』というお声が挙がるようになりました。
そこで3日分のメニューが作れる調理キットをテスト販売してみたところ、非常に反応が良かった。これをさらにブラッシュアップし、1食単位のキット販売をするようになったのが、Kit Oisixの生まれた背景になります」
地道な作業を繰り返した日々
Kit Oisixの販売を始めた2013年ごろ、海外ではミールキット市場が成長していたのに比べ、日本ではまだまだ認知度が低かった。それゆえ、必要な食材が揃った手間いらずの献立キットの付加価値をどう伝えていくか苦労を重ねたそうだ。
「認知度向上を図るため、インフルエンサーにKit Oisixを実際に使ってもらい、SNSへ写真や感想を投稿してもらう施策を実施しました。インフルエンサーの方々へ一人ひとり連絡していきながら、地道にSNSのプロモーションを行ったんですが、細かいやり取りや地味な作業に苦労したのを覚えています。
また、どうしても青果を扱っている以上、天候不順の影響も避けられないわけで、新商品のメニュー開発時には、急な天候不良で野菜の収穫ができない可能性を想定して、代わりになる野菜を調達して、テストキッチンで試作をするなども対応としてやってきました。開発の中では柔軟な対応が求められます。だた、こうした大変さを味わいつつも、やりがいを感じながら取り組んできました」