“ノブコブ”徳井健太が明かす「芸人愛を感じる」バラエティ番組の特徴とは
取り上げたのは珠玉の21組
――本で取り上げたのは、徳井さんが書きたかった人たちですか? 編集さんからの提案も入っていますか?
徳井:「誰々はどうですか?」みたいな提案をもらったときもありましたけど、僕の中に太くて深いエピソードがある人たちを書いているので、あまり関わりのない人は書けないんです。今回の本に出ていなくて書きたかったのは、佐久間一行さんともう中学生くらいかな。
見取り図とかも書きたくなりそうなんですけど、まだそこまで知らないので。第7世代とか書いたら、ラインナップとして華やかさが増すのかもしれないですが、接点がなさすぎて、テレビで見た情報しかないから。だから僕にとって珠玉の21組なんです。
――『アメトーーク!』についても触れられていますが、芸人愛のある番組というのは、何か違いがあるのでしょうか。
徳井:あるあるなのは、飲み物がいっぱいあることです。
間違いを求めてくれる現場
――え? 飲み物ですか?
徳井:だいたい番組のAPさんがお弁当とか飲み物を用意してくれるわけですよね。そのボスがプロデューサーだったり演出だったりするわけで、つまりその人たちの意向なわけです。
なるべく伸び伸びと芸人に面白いことをさせてやりたいと思っているボスたちは、「そのためにはドリンクもたくさん種類があったほうがいいし、飯もいろいろあったほうがいい」という教えがあると思うんです。僕の勝手な想像ですが、意外と的を射てると思ってます(笑)。
それとやっぱりいいスタッフさんたちは、ノブシコブシだからこういう企画にしようとか、今のノブシコブシだったらとか、そうやってありきのところから考えてくれることが多いです。「これをやります」「これをやってください」みたいな企画先行な感じだと、僕らじゃなくてもいいんじゃないの? と思っちゃう。
あと打ち合わせが短いのもあるあるかも。本番の化学変化を楽しめているのと、信用してくれてるんだと思いますね。打ち合わせしすぎると、ディレクターさんの演出の想定内の番組にしかならない気がして。そこを超えるためには芸人の個性と間違いが必要なんじゃないかと。間違いを求めてくれるっていうのは大きい差だと思います。
<取材/詠祐真 文・撮影/望月ふみ>
【徳井健太】
1980年生まれ。2000年、東京NSCの同期・吉村崇とお笑いコンビ「平成ノブシコブシ」を結成。テレビ番組「ピカルの定理」などを中心に活躍し、最近では芸人やお笑い番組を愛情たっぷりに「考察」することでも注目を集めている。「もっと世間で評価や称賛を受けるべき人や物」を紹介すべく、YouTubeチャンネル「徳井の考察」も開設している。著書『敗北からの芸人論』は新潮社より発売