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“ノブコブ”徳井健太が明かす「芸人愛を感じる」バラエティ番組の特徴とは

暮らし

今必要だと思ったことをやる

徳井健太

徳井:それからまたしばらくして、『にけつッ!!』(読売テレビ)で、千原ジュニアさんが東日本大震災のときに、少しでも勇気づけられたらと思って落語をやったと話しているのを聞いて、「じゃあ、僕は?」と。僕らはコンビですが自信のあるネタもないし、落語もできない。こういうとき何ができるんだろうと。

 で、それこそ中国地方が大変だったときに、ずっと重機が動いているのを見て、そうか、重機の免許があれば、いざとなったらその場に行って、「お前、重機の扱い方、全然ダメじゃないか~」なんて突っ込まれつつも、現地の人と交流して僕なりにほんの少しかもしれないけど、元気づけられるんじゃないかと思ったんです。それで取ったんです。だからお笑いの方向どうだとか関係なくて。その後、「看取り士」の資格も取ったんですけど。

――看取り士?

徳井:人が亡くなる時に、横で看取るという仕事です。僕、「TOKYO HEADLINE」で連載させてもらってるんですけど、そこのライターの方と話しているときに、「亡くなる間際のおじいちゃんとかおばあちゃんから話を聞くのって、徳井くんの性格的にすごく向いていると思う」と言われて、確かに、と。たとえ知らない人でも、誰かの話を聞くことはとても好きなので。

 僕はいつも、そのときにやりたいことをやっているだけで、資格を取って芸の幅をとかではないです。そもそも売れるためにとか、食っていくためにとかで動いたことがないんですよ。今必要だと思ったことをやっている、という感覚です。だから今回のエッセイに関しても東野幸治さんに「やってみたら?」と言われてやってみて、こうして本になるのは有難いですが、これ一本で食べていきたい、とかは思ってないです。

『トップガン』の“あとがき”で読書感想文

徳井健太

――ウェブメディア「TOKYO HEADLINE」さんの話も出ましたが、もともと書く仕事もたくさんされている印象です。幼いころにたくさん本を読んでいたとか、文章を書いていたとかありますか?

徳井:書くということに関しては、昔、夏休みの宿題に読書感想文があって、時間がなかったので、小説になってる『トップガン』の“あとがき”だけ読んで読書感想文を書いたんです。「だいたい大人って、最初否定してから肯定すれば感動するんでしょ」とか、非常に適当に書いて提出したら、隣のクラスに遊びに行ったときに、黒板に「良い文章だ」ってことで見本になってたんです。

 結局、学校内で金賞取ったんですよ。単純に嬉しくて。「僕、文章書くの上手いんだ」と。そこから味をしめましたね。停学してた時の反省文も「もう書かなくていい」と先生に言われるくらい、尋常じゃない量を書きました(笑)。

――書くことはやはり得意なんですね。でもあとがきを読んだだけということは、読書自体は?『スレイヤーズ』(神坂一によるライトノベル。シリーズ累計発行部数は2000万部を突破)が好きだと聞きましたが。

徳井:シリーズのうちの1冊を100回くらい読んでました。病気だろっていうくらい(笑)。最初は歯医者に行くご褒美として買ってもらったんです。『スレイヤーズ2』を。

敗北からの芸人論

敗北からの芸人論

「負けを味わった奴だけが売れる、負け続けたからこそ書ける――」 悟りの境地で繰り出す熱く、的確なお笑い考察が、ネット連載時から大反響! 累計700万PVを突破! 自らの才能のなさに絶望しそれでも笑いに救われた芸人、ノブコブ徳井による、誰もが共感できるお笑いエッセイ。

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