吉野家「生娘シャブ漬け」発言で浮き彫りになった、“日本のジェンダー意識”の危うさ
日本でも海外の「人権感覚」がようやく浸透
女性が働きやすい会社というのは本当に実現するのか。それにはかなりの時間がかかりそうだ。
「ジェンダー平等が本当に全世界で達成するまでには約200年かかると言われています。気の遠くなるような数字ですが、特に日本の場合はかなり時間が必要でしょう。しかし、2021年2月に日本オリンピック委員会(JOC)の森会長(喜朗元首相)の発言と辞任は、ターニングポイントだったのではないかと思います」
森元首相の発言とは、前回の記事でも触れた「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかります」「組織委員会にも女性はいるが、みんなわきまえておられる」などの女性蔑視発言だ。森氏は、この発言がきっかけでJOC会長辞任にいたった。
「あんなに偉い人が、女性蔑視発言で地位を奪われてしまったことが衝撃的でしたよね。ただ海外では全く珍しくなく、女性だけではなくLGBTへの差別発言で地位を追われる大学の学長や大統領候補など、さまざまなことが起きたわけです。それはやはり“Me Too”と“ブラック・ライヴズ・マター(BLM運動)”の影響がとても大きかったと思います。差別はいけない、日本でもようやくそのような人権感覚が浸透してきたんだなと感じますね」
本当の男女平等を実現させるには?
最後に白河氏は男性のライフイベントに関しても重要だと語る。
「女性が働きやすくするためには、男性も家事や育児を担い、家庭で活躍してもらわないと。いくら社会の意識が変わっても、女性の時間は増えないわけじゃないですか。『男性にもライフイベントはあるんだ、男性にも子育てする権利がある』という考え方も浸透しないと、本当の男女平等になりません」
まさに2022年4月1日から育児介護休業法が改正されて、これから男性も育休が取りやすくなる。また10月1日からは男性のための産休という新しい制度ができる。