Netflix会員数減少、株価3割急落「サブスク市場」も受難の時代が到来か
潤沢な資金力で続々と人気作品を製作
Netflixの強みは自前でもコンテンツを製作している点で、今やハリウッド映画を超える規模の作品を生み出しています。ドラマのヒット作にはストーリー性が求められるという印象がありますが、実際には多額の資金を使い、人気俳優や優れた舞台・セットを用意できた作品がヒットする傾向にあります。
100億円以上を投じて製作された政治ドラマ『ハウス・オブ・カード 野望の階段』は、まさしくNetflixによるオリジナル作品の成功例と言えるでしょう。
例えばハリウッド映画は、銀行や投資家から製作費を調達しますが、担保として配給権を出資者に提供しなければならないため、収入が全て製作者のものになるわけではありません。一方、Netflixのような動画配信サービスでは収入を消費者から直接回収できるため、資金力が次の作品の製作力につながるわけです。
規模拡大×コロナ禍で大いに躍進
Netflixの業績をみると売上高が3年で約2倍となっており、まさに急成長を遂げた企業といえます。2017/12期から2021/12期までの業績は次の通りです。
【Netflixの業績(2017/12期~2021/12期)】
売上高:117億ドル→158億ドル→202億ドル→250億ドル→297億ドル
営業利益:8.4億ドル→16.1億ドル→26.0億ドル→45.9億ドル→61.9億ドル
最終利益:5.6億ドル→12.1億ドル→18.7億ドル→27.6億ドル→51.2億ドル
有料会員数:1億1064万人→1億3926万人→1億6709万人→2億0366万人→2億2184万人
単純に有料会員数の増加が売上高の増加につながっています。世界中でVOD(動画配信)市場全体が規模を拡大しており、それに伴って業績を伸ばしてきた形です。先進国ではスマホ・PC、ネット環境を有していたものの、VODに加入していなかった人々が加入するようになりました。
一方、新興国ではスマホ・ネット環境の急激な普及によって、余暇のひとつとしてVODを選ぶ人が現れました。消費者は新しいサービスを選ぶ際、やはり知名度が高く、業界でトップの企業を選ぼうとする心理が働きます。この点でNetflixは有利に働き、競合の「Hulu」「Amazon Prime Video」などの競合がいる中でもトップを維持できたのではないでしょうか。
特にコロナ禍が始まった2020/12期以降は「巣ごもり需要」での加入も増えたようです。利益面に着目すると売上高の増加率よりも増益率のほうが高いことが分かります。例えば、2019/12期の売上高は前年比で+28%に対し、営業利益は+61%、最終利益は+55%となっています。