税や保険料の「国民負担率」が過去最大に。懸命に働く人が“報われない”日本は変われるのか
懸命に働く人が報われない日本
続けて、インフレの理解度、消費税の扱い方などに注目すべきだと話した。
「輸入コスト増のインフレを解決するためには、国内の供給力の底上げ、自然エネルギー転換の推進などが必要です。これらの課題に対して、どのような取り組みを掲げているかは、投票先を選ぶ際の大きなヒントになります。
このコロナ禍で多くの人は、自分や大切な身近な人が命を落としたり、罹患して苦しんだりしました。医療関係者を筆頭に、介護士や運輸業者、小売業者など、私達の生活を直接支えるために、多くの人がコロナ感染のリスクを抱えながらも、対面の仕事に従事して世のため人のために闘っています。
ところが、これらの人たちは報われるどころか、まるで罰せられるように消費税を負担させられています。さらにはコスト・プッシュ・インフレによって生活費が圧迫され、社会保険料・本人負担の引き上げを強いられているのです」
大きくお金を取るべきなのは…
「そんななか、2020年6月に電通・パソナ・トランスコスモスの3社が設立した『サービスデザイン推進協議会』では、持続化給付金の支給事業を769億円で請け負い、それを中抜きしてこれら3社に外注して分け合っていることが報道されました。
竹中平蔵さんが取締役会長を務めるパソナは、コロナ禍で派遣業の仕事が減ったにもかかわらず、こうしたコロナ対策事業の請け負いにより、20年6月から21年5月の純利益が前年比約11倍の大儲けを記録。同様に電通グループも2021年12月期上期の純利益は同128.6%増となりました。このようなコロナを利用して安全なところで中抜きして大儲けしたところからこそ、大きくお金を取るべきです」
報われるべき人が報われない理不尽過ぎる現状に憤りを見せ、「法人税の増税や累進性の強化、消費税の減税・廃止を掲げている勢力が増えるように投票してほしいです」と最後に松尾氏は訴えた。
「貧困=自己責任」という意識が根強いが、松尾氏の話を聞けば、貧困は政府によってもたらされたものだとわかる。裏を返すと貧困脱却も政府が担うことができる。国に、政府に、行政に甘えられる未来を整備するために、今から参議院選挙を意識して各政治家・政党の動向を追いたい。
<取材・文/望月悠木 編集/ヤナカリュウイチ(@ia_tqw)>